2018年12月

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 本当に久しぶりのキューブリック関連書籍の邦訳です。2004年に刊行されたクリスティアーヌの秘蔵写真集『スタンリー・キューブリック〜写真で見るその人生』、ポール・ダンカンの『スタンリー・キューブリック』、ヴィンセント・ロブロットの『映画監督スタンリー・キューブリック』以来ではないでしょうか。この原書が上梓された時に記事にしましたが、まさか本当に邦訳していただけるとは思ってもいませんでした。それほどキューブリック関連書籍の邦訳は望み薄だったのです。

 内容は今まで知られてきた『2001年…』制作秘話に新たな証言を加え、それを著者のマイケル・ベンソンが取りまとめ、解説するという構成になっています。登場する主な証言者は以下の通り。

スタンリー・キューブリック…プロデューサー、映画監督
アーサー・C・クラーク…小説家、脚本や小説版執筆、科学アドバイザー
クリスティアーヌ・キューブリック…キューブリックの妻、エイリアンの造形担当
カール・セイガン…「異星人は見せるな」と指南した天文学者
マイク・ウィルソン…クラークのパートナー
ロジャー・キャラス(カラス)…広報担当
スコット・メレデス…クラークの版権代理人
ヘクター・エカナヤケ…クラークのアシスタント
レイ・ラブジョイ…キューブリックの編集担当
ウィリアム・シルヴェスター…俳優(フロイド博士)
コン・ペダーソン…特撮担当
ダグラス・トランブル…特撮担当
ロバート・ガフニー…セカンドユニットの撮影監督
ルイス・ブラウ…キューブリックの弁護士
ウォーリー・ジェントルマン…初期の特撮担当
ダグラス・レイン…俳優(HAL9000の声)
フレッド・オードウェイ…元NASAの技術顧問
ハリー・ラング…元NASAの美術監督
ロバート・オブライエン…MGM代表
キア・デュリア…俳優(デビッド・ボーマン)
ゲイリー・ロックウッド…俳優(フランク・プール)
ヴィクター・リンドン…制作補佐
トニー・マスターズ…美術監督
ボブ・カートライト…初期のセット装飾家
トニー(アンソニー)・フリューイン…キューブリックのアシスタント
アーニ・アーチャー…トニー・マスターズのアシスタント
ウォーリー・ヴィーヴァーズ…特撮担当
ブライアン・ジョンスン…特撮アシスタント
ロバート・ビーティー…俳優(クラビウス基地司令官)
ジェフリー・アンスワース…撮影監督
デレク・クラックネル…第一助監督
ケルヴィン・パイク…カメラオペレーター
デイヴィッド・デ・ワイルド…編集アシスタントでアメリカ試写に同行
ジョン・オルコット…アンスワースの撮影助手、後に撮影監督
ブライアン・ロフタス…特撮担当
アンドリュー・バーキン…アシスタント、後に映画監督
スチュワート・フリーボーン…メイクアップ・アーティスト
ダン・リクター…俳優(月を見るもの)
ビル・ウェストン…スタントマン
トム・ハワード…特撮担当
ピエール・ブーラ…「人類の夜明け」の背景写真撮影担当
コリン・キャントウェル…特撮担当
ヤン・ハーラン…キューブリックの義弟(クリスティアーヌの弟)で後のプロデューサー

上記以外では

リズ・ムーア…スターチャイルドの造形担当
アイヴァー・パウエル…制作アシスタント、カミンスキー博士役
ブルース・ローガン…トランブルのアシスタント、オープニングショットの制作者

注:本書の解説より噛み砕いた説明をしています。

 特に注目すべきは、制作当初は単なるアシスタント程度にしか過ぎなかったダグラス・トランブル、アンドリュー・バーキンの成り上がりっぷり、俳優のキア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ダン・リクターの作品への少なくない貢献度、そしてキューブリックの妻であるクリスティアーヌが、キューブリックを励まし続けた姿です。クリスティアーヌの「内助の功」っぷりは感動的ですらあり、キューブリックが生涯にわたってクリスティアーヌにベタ惚れだったのもよく理解できます。

 ただ、残念な点もあって、クラークに関しての多くが『失われた宇宙の旅2001』の焼き直しであること、著者のマイケル・ベンソンの解説に疑問な点があることです。後者に関してですが、ベンソンは「HALの見た目映像はフェアチャイルド社のレンズ」と解説していますが、フェアチャイルドのレンズであの魚眼映像は撮れません。使用したのはHALのセットに組み込まれていたものと同じニコンの魚眼レンズです(詳細はこちら)。また、モノリスの1:4:9比率を決めたのはトニー・マスターズであるかのような記述がありますが、映画のモノリスは1:4:9ではありません。クラークは「(比率は)あとで思いついたもの」と証言していますので、映画版の比率は美的観点からマスターズが決め、クラークはその比率に意味を持たせるために小説版で1:4:9であると後付けで設定したのではないかと推察しています。

 この他にも気になる点がいくつかあるのですが、それこそ『2001年…』はネット・書籍などを含めれば全世界に研究者がおり、その情報量も膨大ですので、クロスチェックは必要になるかと思います(特にベンソンの推察や考察の部分)。とはいえ多くの関係者の証言、つまり一次情報を集め、それを一冊の書籍にまとめた功績は素晴らしく、それを知るには貴重な資料であることは間違いないでしょう。

 『2001年…』に限らず、キューブリックは独断と独善で作品を作るようなことはなく、多くの優秀なスタッフ(たとえ使い走りでも)の意見に耳を傾け、その才能を評価し、そのアイデアが作品をよくするためなら臨機応変に(クラークはそれを「行き当たりばったり」と評している)採用する柔軟性を持ち合わせていました。つまり役者の台詞だけでなく、制作過程も「アドリブだらけ」だったのです。その顕著な例が「完成した脚本で撮影をするという手法を採らない」ということです。撮影前に一応脚本は形にはなるのですが、それは撮影が進むたびに書き直され、(時には大きく)変更されたりするので、台本係が常にそばに待機しそれを記録、翌日には新しい台本が役者に渡される、といった具合です。キューブリック自身もインタビューで「シナリオの最終決定稿が完成するのは、撮影現場で最後のショットが終わった時だ」と語っています。

 それらアドリブをまとめ上げ、最終的に判断するのはキューブリックですが、その判断にいかに客観性を持たせられるかに苦悩する姿は本書では特に印象に残りました。一般的に「天才(ただし本人はこう呼ばれることを好んでいなかった)」「完全主義者」と呼ばれるキューブリックですが、それ以上に重要なのは多くの優秀なスタッフの才能をまとめ上げる(「才能を搾り取る」と揶揄されることも)天才的な「指揮者(マエストロ)」であったことです。この書によってその理解が一般に広がることを期待したいですね。

 『2001年…』ファン、キューブリックファンには必携の書だとは思いますが、価格が少々高額なのが残念なところ。ですが、この本が売れることによって他のキューブリック関連書籍の邦訳の可能性が高まるので(特に『The Stanley Kubrick Archives』の邦訳を望みたい)、できれば図書館などで借りてすませるのではなく、ファンの皆様にはぜひ購入していただけたらと思います。

 なお。原書のタイトルは『Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece(スペースオデッセイ:スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークはいかにして傑作を作ったか)』です。どうして『2001:キューブリック、クラーク』というタイトルにしたのかは、書店の店頭などで耳目を集めたいがためだとは思いますが、単に3つの単語を並べただけの中途半端な印象しかなく、あまりセンスが良いとは思いませんでした。早川書房さんには邦訳書を出版していただいた感謝の念しかありませんが、この点は残念であったことを付記しておきます。


2001:キューブリック、クラーク(amazon)
【ご注意】当ブログの記事は「KUBRICK.Blog.jp」の明記と該当記事へのリンク(URL表記「http://kubrick.blog.jp/」でも可)貼ることを条件に、報告不要でご自由にご活用頂けます。ただし、アポロ計画やフリーメイソンなどの陰謀論、スキャンダラスな嘘記事、ソース不明の偽情報を掲載して衆目を集め、アクセスを呼び込むことを第一の目的とするデマサイトやデマ動画チャンネルの関係者は当ブログの閲覧、ならびに利用は全面禁止とさせていただきます。






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2001

2019年1月3日(木)午後0:30〜午後3:00(150分)

 映画史にさん然と輝く、巨匠スタンリー・キューブリック監督の傑作SF映画。70ミリで製作された超大作のオリジナル・ネガをもとに8K化し、修復を行った8K完全版。

 1968年、当時最高のクオリティーを誇る70ミリフィルムで製作・公開されたSF超大作を、オリジナル・ネガをもとに8K化し、色彩や傷などの修復を行った8K完全版。謎の物体モノリスと人類との出会い、宇宙船ディスカバリー号の木星への旅など、知的好奇心に満ちた物語と、巨匠スタンリー・キューブリック監督の圧倒的な映像美が、8Kによって細部まで鮮明によみがえる。今なお最高のSF映画とされる映画史上の傑作。

【監督】スタンリー・キューブリック
【出演】ケア・ダレー、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター
【脚本】スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク

・字幕スーパー
・レターボックスサイズ
・1:57.38-2:00.23 インターミッション

(引用先:NHK番組ホームページ『2001年宇宙の旅』




 8Kのコンテンツは少ないので、半年くらい経ったら再放送するかな?と思っていましたが、ひと月で再放送になりました。

 最寄りのNHKで8Kの放送を視聴公開していると思いますし、家電量販店でもオンエアを流す可能性があります。前回の初放送の際の各放送局の情報で、イベント関係以外のものは参考になると思います(ただしお正月休みに注意)ので、NHKの放送局や放送関連施設で視聴されたい方はこちらをご覧の上、各局にお問い合わせください。
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A面

1. Main Title "The Shining" (3:27) - 00:00
 メイン・タイトル『シャイニング』/ウェンディ・カーロス&レイチェル・エルキンド
 Rachel Elkind, Wendy Carlos / Wendy Carlos And Rachel Elkind

2. Rocky Mountains (3:01) - 03:30
 ロッキー山脈/ウェンディ・カーロス&レイチェル・エルキンド
 Rachel Elkind, Wendy Carlos / Wendy Carlos And Rachel Elkind

3. Lontano (10:11) - 06:37
 ロンターノ/ジョルジ・リゲティ
 Gyorgy Ligeti / Ernest Bour, Sinfonie Orchester Des Sudwestfunks

4. Music For Strings, Percussion And Celesta (8:07) - 16:49
 弦楽器,打楽器とチェレスタのための音楽/ベラ・バルトーク
 Bela Bartok / Herbert von Karajan, Berlin Philharmonic Orchestra

B面

1. Utrenja (3:33) - 24:53
 ウトレンニャ(キリストの埋葬)〈抜粋〉/クリシュトフ・ペンデレツキ
 Krzysztof Penderecki / Andrzej Markowski, Symphony Orchestra Of The National Philharmonic, Warsaw

2. The Awakening Of Jacob (7:55) - 28:30
 ヤコブの目覚め/クリシュトフ・ペンデレツキ
 Krzysztof Penderecki / Krzysztof Penderecki, Polish Radio National Symphony Orchestra

3. De Natura Sonoris (8:56) - 36:28
 デ・ナトゥラ・ソノリス第2番/クリシュトフ・ペンデレツキ
 Krzysztof Penderecki / Krzysztof Penderecki, Polish Radio National Symphony Orchestra

4. Home (3:09) - 45:29
 ホーム/ヘンリーホールとザ・グリニーグルズ・ホテル・バンド
 Jeff Clakson, Harry Clarkson, Peter Van Steeden / Henry Hall And The Gleneagles Hotel Band

 YouTubeには『シャイニング』のサウンドトラックを自称する動画が数多くアップされているのですが、公式・非公式がごちゃまぜになっているので、どれがどれだかよくわからない混沌とした状況になってしまっています。その点この動画は『シャイニング』公式サウンドトラックのアナログLP盤を流しっぱなしで録画したものなので、公式音源の確認用としてはとても助かります。

 あまりにもワーナーが『シャイニング』のサントラをオフィシャルにデジタル化してくれないものだから、収録曲を確認するにはこういう動画に頼らざるを得ないのが現状です。公式のアナログLP盤はレアアイテム化していますし、しかもレコードプレーヤーを所有している人は現在は少数派ですので仕方ないですね。ただ、ライン録音ではない、ノイズが多いなど決して聴きやすいものではないので、ヘッドホンなどで聴く場合はご注意ください。また、著作権的にかなり厳しい対応を採られる可能性が高いので、視聴するなら今のうちかと思います。その点もご留意の上お楽しみください。
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 一足早く発売になった海外版をソースに、『2001年宇宙の旅』リマスターBDと4KUHDの画像比較動画がアップされていましたのでご紹介。

 こうして比べてみると結構色調が違いますね。全体的には4KUHDの方が赤味が強いように感じます。同じ8Kマスターを用いているはずなのに、ここまで違うのは何か理由があるのかどうかはわかりませんが、好みとしてはリマスターBDの方です。当然ですが、解像度は4Kの方が上です。画像のエッジの鮮明さがHDと4Kではここまで違うのか、と驚かされます。

 4Kの視聴レポートはいくつか目にしましたが、色調に関しては再生装置(液晶TVやBDプレーヤー)越しに比較したところでメーカーや設定でどうにでも転んでしまいますので、あまり意味はないと感じていました。一番確実なのはディスクをPCに読み込んで、画像データそのものを比較する方法です。この動画はおそらくそうしてPCでキャプチャしたものを比較しているようですので、かなり説得力がありますね。とても参考になる動画だと思います。
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 「宇宙=無重力=美しき青きドナウ」という図式は、それこそうんざりするほど見させられているのですが、今年は『2001年宇宙の旅』公開50周年だったので、「初めて『2001年…』を観た」という方も多かったでしょうし、それによって元ネタを知ったというパターンもあったかと思います。

 事業会社のソフトバンクも「ドナウ」ネタや「ツァラトゥストラはかく語りき」ネタをやっていますし、他社CMでも数え切れないくらい『2001年…』ネタを、それこそ「50年間も」しつづけてきています。それをここでは紹介し切れませんが、今後も「宇宙=無重力=ドナウ」や「何かが登場(もしくは夜明け)=ツァラトゥストラ」はCMその他のネタにされ続けるでしょう。



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