2016年10月

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SF少年の夢 1978年 04月号 (季刊 映画宝庫6)(amazon)


※石上三登志氏を中心に編纂されたSF映画ファンなら所有しておくべきバイブル的な書。手塚治虫が語る「キューブリック手紙事件」の詳細も興味深いし、SF映画のデータベースとしても貴重。中でもネットでも情報がほとんどない『2001年…』以前のオールドSF映画の情報の宝庫です。



─ 研修で「イエイエ」CMは見ていたので、目の前にいるひとが、その立役者なのはわかっていた。しかし彼が当時、石上三登志でもあり、盛んに映画評論を映画誌に書いていたことは、なにも知らなかった。だいたい、どんな映画が好きか?なんて聞かれたのは、電通では初めてだった。

「はあ、映画ですか?えー、僕は子供のころから特撮映画とか、SF映画が好きなのですが」。今村さんの眼鏡の奥の目玉が、キラッと光った(ように、見えた)。「特撮? SF? ほう、たとえば、どんな?」
─ わたしは、その時分、自分では最大のSF映画体験であった、あるタイトルを挙げた。

「2001年宇宙の旅、ですね」。

今村さんの目玉は、後の、「スターウォーズ」のC3POみたいに真ん丸に見開かれた。
「2001年…!? きみ、ちょっとさ、お茶にでも行かないか?」

…今村さんは、わたしを銀座電通のすぐ向かいの「ウエスト」に案内した。この喫茶は、現在もそうだが、当時も時間が止まっているかのような雰囲気、レトロな制服のウエートレスたち、アナログレコードのクラシック音楽、豊富かつ手が込んだスイーツ、で独特な店だった(現在ではアナログ機材はなくCDがかけられる。LPは保存されている)。

後年、今村さんと、わたしたちはここで、さまざまなCM企画を生み出すことになる。いわば、今村部の別室であった。

さて、今村さんはおもむろに口を開く。
「2001年宇宙の旅…、実は、僕はもう7回観ている」

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:電通報/2016年10月29日




 石上三登志さんと言えばキューブリック関連の書籍ではよくお名前を見かけた「キューブリックリアルタイム世代」の評論家で、管理人ような「キューブリック後追い世代」に多大な影響を与えた方です。『映画宝庫』の編纂者としても有名な方で、『映画宝庫 SF少年の夢』は管理人のバイブルでもあります。

 実は電通の有名なCMディレクターだったというのはこの記事で初めて知りました。専門の映画評論家だと思い込んでしまうほど、映画評論や映画雑誌での活躍が印象に残っています。この方のような「キューブリックリアルタイム世代」がどんどんと鬼籍に入ってしまうのと時を同じくして、ありもしない陰謀論やくだらない作り話が蔓延するようになった気がします。その一番の被害者はキューブリックが逝去後にファンになった「キューブリック逝去後世代」でしょう。自分自身にあまりプレッシャーをかけたくはないのですが、もうご高齢な「キューブリックリアルタイム世代」に頼れなくなってしまっている以上、私たちのような「キューブリック後追い世代」がしっかりと正しい情報を伝えなければならないと思いますし、このブログがその一助になればと痛切に思う次第です。
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〈前略〉

 また、キューブリック監督はフラットアングルのパンでセットを端から端まで、時にはビル全体を写すことが多々あり、「時計仕掛けのオレンジ」や「シャイニング」で幾度となく見られますが、アンダーソン監督も自身の作品で同じ手法を活用しているようです。

(全文はリンク先へ:GIZMODO/2016年8月7日




 うーん、わかっているようなわかっていないような記事。記事は「また」中川真知子さんですね。「フラットアングルのパン」って(横)パンのことですか? キューブリックってそんなにパンって使ってましたっけ? これは元記事がそうなっているので要約しただけのようですが、キューブリックの撮り方の特徴は「ドリー・ショットとズームの多用」、これに尽きると思うのですが。どうやら横移動のドリーショットをパンと勘違いしているようです(パンとは首振りの意味なので、カメラ全体を動かすドリーとは撮れる画が全然違います)。上記の動画もドリーとズームばっかり集めていますしね。わかっていない人が記事を書き、わかっていない人が訳すとこうなるという典型的な「ダメ記事」ですね。

 高倍率のズームアップとズームアウト、横移動や前後移動のドリーショット。それに手持ち撮影での手ぶれや広角レンズでの撮影をポイントポイントで使い、構図はシンメトリックに決める。これで誰でもキューブリックになれます(笑。ぜひお試しあれ。

 ※この動画は以前この記事でご紹介済みですが、GIZMODOさんが改めて記事にしていたので、訂正する意味でも再度採り上げさせていただきました。
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「雨の映画に唄えば」

 「雨に唄えば」といえば、50年代に公開したミュージカル映画であり、その主題歌の名前。雨の中、ジーン・ケリーが軽快にタップダンスを踊りながら歌う、映画史に残る名シーンが有名です。

 そんな名曲を、さまざまな名作映画のキャラクターたちに歌わせると……

(全文はリンク先へ:GIZMODO/2016年10月3日




 映画のシーンのクチパクに合わせた編集に、最初は「おお凄い!」となりますが・・・ちょっと動画が長すぎますね。後半のアクションシーンはいらないのでは? でも、よくもまあこんなに集めたものです。記事では

「雨に唄えば」が印象的な映画といえば、もう一つ思い出すのがスタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」に登場するミュージカル・バイオレンスシーンですが、実際に「雨に唄えば」が流れる本作は使っていないあたりにも、こだわりを感じます。


となっていますが、こだわりではなくて「雨のシーン縛り」で映像を集めているからです。『時計…』の例のシーンは雨ではないので除外されて当然です。以前から気になっていたのですが、このギズモードの記者の中川真知子さん、映画に詳しくないのか理解力が足らないのか的外れな記事が多すぎます。担当を変わった方がよろしんじゃないでしょうか? 選択する海外の記事や動画は悪くないのに、解説や記事がこれじゃ台無しですね。
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 管理人の『A.I.』に対する評価はここをご覧いただくとして、こんなにもオマージュが込められていたんですね。最初の車のシーンは有名なので知っていましたが、こじつけ臭いのもチラホラあります。まあ、本当のところはスピルバーグしかわからないので、ここでその真偽を検証しても意味はないでしょうから、観る人の判断におまかせするしかないですね。

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映画監督 スタンリー・キューブリック(amazon)


 キューブリックの生涯(正確には死去直前まで)を関係者のインタビューや証言を交え、丁寧に追った評伝であり、第一級のドキュメンタリー。まずはこれでキューブリックの生涯を俯瞰すれば、キューブリックの性格・個性から、映画制作における状況判断と対応能力、その異常なまでの「こだわり主義者」(あえて「完全主義者」とは言わない)っぷりがよく理解できます。つくづく思うのはキューブリックは社会や人間に対しての認識力、理解力、洞察力などがかなり早い段階で形成され、それはほとんど変わることなく晩年まで持ち続けていたということです。早熟という一言で片付ければそうですが、その早熟さを発揮できるクリエイティブな手段を早くから持ち、「ルック社の有望な若手カメラマン」という一般人であれば満足しそうな地位をあっさりと捨て去り、徒手空拳で堂々とハリウッドに乗り込んでゆくその自信と傲慢さは、カーク・ダグラスが「才能ある」クソッタレと評さざるを得ないほどの強烈な個性と豊かな才能の持ち主だったことがよく理解できます。キューブリックを知るためには必ず読まなければならない書として、まず本書を強くお勧めいたします。



ザ・コンプリート キューブリック全書(amazon)


 記事の乱雑さや訳の雑さもあってamazonのレビュー欄では評価が低いようですが、この本が出版された2001年当時は書籍はもちろん、ネット上にもキューブリックに関するまとまった情報がなかったため、大変重宝した記憶があります。日本に関して言えば現在もそれは大きく変わらず、海外に比べて日本語で読めるキューブリックの情報は決して多いとは言えません。そういう意味ではやはり本書は貴重で、データーベースとして持っておくべき書であることは間違いないでしょう。



EYES WIDE OPEN―スタンリー・キューブリックと「アイズワイドシャット」(amazon)


 『アイズ ワイド シャット』で『夢小説』の脚本化を担当したフレデリック・ラファエルの恨み節満載の、『アイズ…』製作時におけるラファエル側から見たドキュメンタリー。『シャイニング』で同じく脚本化に協力した小説家のダイアン・ジョンソンは、本書のラファエルを「パラノイア」と評していますが、ラファエルのブライドをズタズタに引き裂くキューブリックの執拗な「ダメ出し」に疲弊しきったラファエルが立ち直るためには、こんな本でも書かなければやってられなかったのではないでしょうか。ここでのキューブリックはいかにもキューブリックで、この強烈な個性と圧倒的な支配力に疲労困憊したのはラファエルだけでなく、クラークも全く同じ体験をしています。キューブリック自身が語る自作のエピソードも他のソースと大きな齟齬はなく、掲載されている情報はかなり正確だと思われます。

 キューブリックの未亡人、クリスティアーヌは本書を「嘘ばかり」と批判し、訴訟も辞さないと強硬な姿勢でしたが、その後具体的な動きはないようです。実はこのクリスティアーヌの反応こそ、本書がいかに正しいかの証明になっているのではないかと思うのです。本書にはキューブリック邸の様子も描写されていますが、食事が粗末だったり、雑然としいている邸内の様子も暴露されています。家を預かる主婦として、そんな恥部を晒されてはたまったものではありません。だからこそ「嘘ばかり」「訴訟も辞さない」という態度に出たのだと考えています。しかし、クリスティアーヌが危惧したほど本書が大きな影響を及ぼさなかったため、この話は立ち消えになったのではないでしょうか。そういう意味ではキューブリック作品制作の裏側を知る重要な書としてお勧めできると思います。

 以上の3冊ですが、どれも10年以上前に出版された古い本ばかりです。海外では最新の情報に基づいたキューブリック本が次々と出版されています。それらを邦訳した新しいキューブリック本の出版を心から希望いたします。
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