2016年02月

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※昨年末に公開されたキューブリックがアポロ月面着陸を撮影した?という陰謀論を基にした映画『ムーン・ウォーカーズ』でもCCRの『フォーチュネート・サン』が使用された。当時のサイケデリック・カルチャーも劇中に再現されている。

〈前略〉

60年代後半におけるアメリカ西部のロック

 言うまでもなく、アメリカは広い。それだけに、場所が変われば言葉のイントネーションや音楽もかなり違ったものになる。日本でも沖縄発祥の琉球音楽、青森の津軽三味線、南大阪の河内音頭など、地域によって独特の音楽や文化がある。日本程度の大きさでも言葉が通じなかったりするのだから、広い北アメリカでは尚更で、大きい境界線を引くだけでは意味をなさないが、便宜上ここでは、西部と南部という区切りで音楽について説明する。

 アメリカ西海岸(カリフォルニアのサンフランシスコやロスアンジェルスを指す)は文字通り西部で、60年代後半からヒッピーが登場し、“ラブ&ピース”を合言葉に、ベトナム戦争反対を唱えコミューン(1)を作っていた。また、マリファナやLSDを使用しながらコンサートにも参加、その頃はグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレイン、イッツ・ア・ビューティフルデイ、モビー・グレープらに代表されるサイケデリックロック(2)に人気が集まっていた。サイケデリックロックは、サウンド的にはゆったりしたリズムで、1曲あたりの時間が長いといった特徴を持つ。これは音楽の特徴というよりは、当時流行していたLSDやマリファナでトリップするための、補助的役割とみなすほうが妥当かもしれない。スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』(‘68)をご覧になった方はご存知だと思うが、後半部分に色彩が飛び回るサイケなシーンが延々と続くのだが、その部分もトリップ用だと言われている。この映画、僕は高校生になって初めて観たのだが、このシーンは当時意味不明で、頭が痛くなったことはしっかり覚えている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ: music.jpニュース/2016年2月26日





 『2001年…』のスターゲート・シークエンスは、この記事にあるように「トリップ(麻薬による幻覚作用)」を意図したものではなく、クラークの小説版にあるように異次元と異世界の描写をリアリティあるものにしようとしたが、CGのない当時の映像技術では満足する結果が得られず、やむなく抽象的な色彩の乱舞による映像で「ごまかした」だけなのですが、それが結果として観客にトリップシーンと受け取られ、劇場でマリファナを吸う連中が後を絶たず、挙句にクラークに「お礼です」と言って怪しい粉末を渡す奴まで現れるという状態でした。(クラークは全部トイレに捨ててしまったそうですが。笑)

 この1960年代後半から70年代前半にかけて世界中のファッション・音楽・映画・文学・演劇などのアートシーンを覆い尽くした(日本も例外ではない)「サイケデリック・カルチャー」のムーブメントにキューブリックも無縁ではありませんでした。キューブリック作品では『2001年…』よりも『時計…』の方がその影響が顕著です。

 このCCRの『コスモズ・ファクトリー』に使用されているグニャっとしたフォントは、一見すれば『時計…』のコロバ・ミルクバーに使用されたフォントとそっくりで、これだけを見て「キューブリックがパクった(あるいはパクられた)」と騒ぎだす連中がいるかも知れません。しかし、サイケデリック・カルチャーをよく知る人にとって、このフォントは当時のトレンドとして非常に馴染みのあるもので、CCRや『時計…』に限らず、ありとあらゆるアートで使用されていたものです。(例えばこんな感じ

 『時計…』では他に、当時の最先端アートを採用しようとしたり、サントラをピンクフロイドにオファーしたりとキューブリックでさえもサイケデリック・カルチャーに毒されていました。それほど当時は絶大な影響力を誇っていたのです。

 しかし現在、このサイケデリック・カルチャーを知る機会は(よほどの物好きでない限り)ほとんどありません。そのせいか『時計…』劇中の世界観を当時のトレンドと結びつけて考えることができず、キューブリック独自に創作した物と受け取ってしまい、『時計…』をカルト映画扱いにしたり、同じサイケデリックカルチャーの影響下で制作された『薔薇の葬列』との共通項を見つけては「キューブリックが影響された」と騒いでみたりと的外れな論評や記事をたびたび目にします。

 映画であれ音楽であれ、制作された当時のトレンドと無縁ではいられません。キューブリック作品はその普遍性からそういった影響を感じさせる部分は少ないですが、『バリー…』にしろ『シャイニング』にしろその制作年を感じさせる要素は少なからずあります。それは物を創作するにあたって避けられない「現実」です。だとすればその作品を深く論じようとすればするほど、その作品の制作時のトレンドや社会的背景を考慮しなければならなくなります。それを調べる努力もせず、ただその作品の表層をなぞっただけの論評(とさえも言えない読書感想文レベル)に、いくばくの価値もないでしょう。


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 ボクシング映画『ロッキー』シリーズのトレーナー、デューク役で知られる俳優のトニー・バートンさんが現地時間25日、カリフォルニア州で死去した。78歳だった。現地ニュースメディアのMLive.comが報じた。
 トニーさんの妹によると、トニーさんは入退院を繰り返していたとのこと。しかし、具体的な病名などは明らかにされていない。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:楽天WOMAN/2016年2月27日




 トニー・バートンといえば記事の通り『ロッキー』のトレーナー役が印象深いですが、そういえば『シャイニング』にもハロランの友人ラリー・ダーキン役で、雪上車を手配する場面に出演していました。でも上記の動画の通り「全米版」のみなので、日本で主に流通している「国際版」では登場場面はカットされてしまっています。

 とりたてて重要な役ではないので印象が薄いですが、トニーは『シャイニング』の初公開時、「ハロランが到着する際に外にいる」「ハロランが雪上車で走り去る前に短い会話を交わす」という2つのシーンがあったと証言しています。もしこの証言が正しいとするならば、全米版では例の病院のシークエンスと共にカットされてしまったのでしょう。

 ところで『シャイニング』に「全米版」と「国際(コンチネンタル)版」の二種類ある理由ですが、管理人の考えはこちらで記事にしています。さらに付け加えるならば、『シャイニング』はアメリカを舞台にしたアメリカ人のトラウマを刺戟する恐怖映画なので、アメリカ以外の地域ではあまり稼げないだろうと考えたキューブリックが、1日の上映回数を増やすために20分以上ものカットを行った、とも考えられます。もちろんこの判断には前作『バリー…』の興行的不振をなんとか挽回したいという思惑が大きかったのではないか、という推察を元にしています。

 キューブリックについては、やたら神格化したり、映像や作品世界を持ち上げ過ぎる傾向が多々ありますが、こういった「現実的な金銭面での判断」も数多かったことは既に各資料から明らかになっています。ここで記事にしたキューブリック作品の制作費と興行成績の比較もそうですが、もういいかげんリアリスティックにキューブリック本人やその作品を見つめ直す時期に来ているのではないか、そしてそれはファンである我々が率先して発信していくべきではないか・・・キューブリックに関するトンデモ論がネット上を跋扈する度に、そんな風に考えてしまいます。

 トニー・バートン氏のご冥福をお祈りいたします。


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※通常入手できる短縮された国際版。


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※トニー・バートンが出演したシーンのある全米版。
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 スー・リオンの今のところの最後の映画出演作『アリゲーター』で、スーが出演した場面をまとめた動画がありましたのでご紹介。

 1980年公開のこの映画、この頃のスーといえば大学に通いながら衣料品店でアルバイト生活。かつてのスターの威光はどこへやら、こんなチョイ役でもオファーされるだけでもマシ、という状態でした。年齢はまだ30代半ばのはずなのに、既にシワが目立つそのお顔はなんだか痛々しい限り。

 この3年後にエドワード・ウェザーと結婚しますがすぐ離婚。1985年になってやっとリチャード・ラドマンと結婚して生活は安定するのですが、1980年代後半にビデオ化された『ロリータ』が、莫大な収入をスーにもたらしたことは想像に難くありません。それはここで記事にしたキューブリックに送った手紙からも伺えます。

 夫のリチャード・ラドマンはラジオエンジニアだそうですが、そんな夫の薄給が霞むほどの金額であることは間違いないでしょう。結局2002年にはラドマンと離婚してしまうのですが、その原因が二人の「金銭感覚のズレ」の問題だとしたら・・・スーの人生を振り返るとあり得そうな話です。

 ところでこの『アリゲーター』。B級動物パニックものとしてはそこそこ評判がいいようです。管理人も何年か前に見返しましたが、当時TVのオンエアで観ていたのをすっかり忘れていたので、ツッコミながらも楽しませていただきました。もちろん当時はスーが出演しているなんてちっとも知りませんでしたが。

 DVDも発売になっていたようですが、現在廃盤になっているようです。下記の『アリゲーター2』との限定パック版もこのお値段・・・ヤフオクでも高騰しているようなので手が出ません。まあ、そこまでする作品でもないですし、上記の動画で十分といえば十分なんですけどね。


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スパルタカス [Blu-ray]


 2016年2月29日(月)午後1:00〜4:16、NHK BSプレミアムにて『スパルタカス』がオンエアされます。

 このプレミアムシネマ、無料(・・・というか受信料として支払わされている)ということもあってよく録画するのですが、かかる作品がワンパターンなのが気になります。「またコレかよ」と思うことも度々。特にオードリー・ヘップバーンの作品はよくOAされます。あとヒッチコックも多いかな。

 なにかと批判の多いNHKですが、受信料を半ば強制的に徴収する以上は、それなりにレベルの高い番組編成をお願いしたいですね。
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〈前文略〉

●「オデッセイ」はダメなタイトル?

 公開前、SNS上でもっとも注目を集めていたのはその日本版タイトルだ。原作ファンが予想していたタイトルは本命:火星の人、対抗:The Martian(及びそのカタカナ表現)といったところ。

 ところがタイトルは「オデッセイ」! 原作にはかけらもないこのタイトルをセレクトしたことに、原作ファンの多くは不満を持った。

 では、「オデッセイ」という題は、いわゆる「ダメ邦題」だったのだろうか?

 そもそも、「オデッセイ」とはどういう意味のタイトルなのか。その答えはパンフレットに書いてある。少し長くなるが引用しよう。

 〈挿入歌としてデヴィッド・ボウイの「スターマン」がフルに使われている。リドリー・スコットとデヴィッド・ボウイといえば、じつはリドリー演出のアイスクリームのCMに無名時代のデヴィッドが出たことがあって、22歳のデヴィッドは「スペース・オディティ」のヒットで将来が開ける直前だった。

 スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークは、時間と空間のかなたまで行って帰ってくる旅の物語を、ホメロスの「オデュッセイア」にならって『2001年宇宙の旅』(2001:A SPACE ODYSSEY/宇宙のオデュッセイア)と名づけた。デヴィッド・ボウイはそれをもじって「宇宙のオディティ(特異な人)」を書いた。本作の邦題『オデッセイ』も、火星に行って帰ってくる旅の物語だからこそ選ばれたのだろう〉

 「オデッセイ」は、「行きて帰りし物語」を表す言葉。そして過去の偉大なSF映画にも大スターにも目を向けた言葉でもある。そうやって考えると、そう悪くないのではないだろうか?

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:exciteニュース/2016年2月24日





 現在公開中の『オデッセイ』ですが、原作のタイトルと映画の原題は『マーティアン(Martian)』。「火星の人」という意味です。

 記事にある通り、この『オデッセイ』という邦題は多分に『2001年…』を意識した(意識しすぎた)ものであり、原作ファンを中心に評判はすこぶる悪いようですね。個人的には素直に『マーティアン』で良かったような気がします。配給会社の宣伝部的には『2001年…』の根強い人気にあやかりたかったんでしょうけど。

 因みに管理人は古い世代のSFファンでもありますんで、『火星は地獄だ!』でもよかったのに、などと思ってしまいました(笑。
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