2015年03月

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Academy Museum Buys Rare ‘2001: A Space Odyssey’ Model For $344,000

Proving the Academy is serious about getting top-drawer content for its new Academy Museum Of Motion Pictures, AMPAS has added a biggie by successfully bidding $344,000 yesterday for a rare visual-effects model of the Aries 1B Trans-Lunar Space Shuttle used in shooting 2001: A Space Odyssey.

(以下リンク先へ:DEADLINE HOLLYWOOD/2015年3月29日




 なんと、『2001年…』のアリエス1B宇宙船の模型がハリウッドのオークションに出品され、それを映画芸術アカデミーが34万4千ドル(今現在のレートで約4,117万円)で落札したそうです。記事によると1970年代に美術教師に譲渡されていたものを、2017年に開館予定のアカデミー映画博物館の展示用に購入。直径は94インチ(2.4m)ですからかなり大きいですね。

 しかしアカデミーってアカデミー賞のアカデミーですよね。キューブリックにそっぽを向き続けたハリウッドの権化たるアカデミーが、ロンドンのスタンリー・キューブリック・アーカイブさえ所有していないレア・アイテムを堂々と購入、博物館の展示の目玉に据えようとするとは・・・。何か釈然としないものを感じてしまいます。
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 2015年3月29日、人気作の『博士…』『時計…』の2本立てで休日はこの日しかなく、混雑は必至だろうと思い朝一番の上映に行ってきました。予想通り満席で大混雑。券売機やトイレで渋滞し、上映時間が遅れるというトラブルも。午後からは整理券が配られる事態になっていました。ひょっとしたら立ち見もあったかも。

 肝心の上映ですが、『博士…』がBD、『時計…』がDCPでの上映でしたが、さほど差を感じませんでした。もちろんDCPの方が画質は上ですが。アス比は両作品ともヨーロッパビスタです。ただ『博士…』の途中で一瞬音声が止まるトラブルがあったのはご愛嬌。まあ何度も複写されたボロボロのフィルムで、薄汚い名画座で見た20年前(我が青春の大毎地下!)に比べると、設備の整った綺麗な映画館で、しかも5.1chサラウンドで堪能できるでけでも贅沢というもの。存分に堪能させていただきました。

 この日の午後、突然降り出した雨に思わず「I'm Singing in the Rain」と口ずさんだ方も多かったのでは?池袋は久しぶりだったのですが、すっかり様変わりしていたのには驚きました。数年前までは「リトル新宿」といった感じで、広すぎる新宿に比べ、コンパクトにまとまった池袋は買い物がしやすく好感だったのですが、春休みだったせいもあり、サンシャインシティやサンシャイン60通りの若者比率の高さに当惑。しかもサンシャインシティの噴水広場に響く野太い声に、今やすっかりヲタの街だと実感。まあ以前からアニメ・マンガ系の店がチラホラあったり(昔は乙女ロードではなくハンズの裏あたりに集中していた)、噴水広場は微妙なアイドルや芸人の御用達だったりしていたのですが、それがここ数年で一気に拡充した印象です。

 余談ついでに『時計…』の上映時間がちょうどお昼頃だったので、アレックスのスパゲッティが妙に美味しそうに思えてならず、夕食はスパゲッティ(あえてパスタとは言わない)をいただきました。もちろん睡眠薬入りのワインはありませんでしたが(笑。
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博士の異常な愛情 [Blu-ray](amazon)


 キネマ旬報DDによる『博士…』(池袋新文芸坐のみ)『時計…』『バリー…』『フルメタル…』『アイズ…』上映がもう間近に迫って来ました。そこで「こんな小ネタを知っていればキューブリック作品をより楽しく鑑賞できますよ」という記事を投下したいと思います。今回は『博士の異常な愛情』編。尚、この記事はネタバレを含んでいて、過去に映画館や、BDやDVDで鑑賞済みの方に向けたものです。未見の方はまずは作品に集中し、この記事を読まないようにお願いいたします。

(1)本編で使用される曲は『トライ・ア・リトル・テンダネス』『ジョニーが凱旋するとき』『また会いましょう』のたった3曲。

(2)ペンタゴンの最高作戦室(ウォールーム)は米軍から何の資料も提供されなかったのでプロダクション・デザイナーのケン・アダムの創作で作られた。モチーフはカジノテーブル。

(3)リッパー将軍の執務室に貼られた基地の航空写真はロンドンのヒースロー空港

(4)銃撃戦が行われるパーブルソン空軍基地のロケ地は、撮影が行われていたシェパートン・スタジオの外観。

(5)マフリー大統領のハゲ頭をメイキャップしたのは『2001年…』で猿人やボーマンの老人姿を担当したスチュアート・フリーボーン

(6)B-52の内部のセットはジェーンなどの軍事専門誌の写真を元に制作されたが、思いのほか実物に近かったせいかFBIの捜査対象にされてしまった。

(7)爆撃手のゾッグ中尉を演じたジェームズ・アール・ジョーンズは後に『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーの声を担当する。つまり『時計…』のデヴィッド・プラウズと合わせるとベイダー卿の「中」と「声」が揃うことになる。

(8)マフリー大統領、マンドレイク大佐、ストレンジラブ博士の三役を演じたピーター・セラーズはB-52の機長のコング少佐も演じる予定だったが、テキサス訛りのセリフが気に入らず怪我を理由に辞退、キューブリックは途中まで監督していた『片目のジャック』に出演していたスリム・ピッケンズを思い出し、急遽キャスティングした。

(9)ストレンジラブ博士のドイツ語訛りは、映画撮影のスチール写真を担当したカメラマン、ウィージーの口調を真似たもの。

(10)コング少佐の「これだけあればヴェガスでたっぷり遊べるぞ」というセリフは本来「ダラス」だったが、公開直前にダラスでケネディ大統領が暗殺されたために急遽「ヴェガス」に差し替えられた。

(11)ミサイルによって破壊されたB-52の暗号封鎖回路「CRM114」は、その後キューブリック作品で様々な形で引用されている。

(12)ストレンジラブ博士が勝手に動く右手を殴るシーンで、ソ連大使を演じたピーター・ブルが思わず笑ってしまっている。

(13)ラストシーンは最高作戦室でパイ投げ合戦が始まり、それから「また会いましょう」のシーンにつながっていたが、キューブリックが「これは笑劇(ファース)であって風刺(サタイア)ではない」とカットした。タージドソン将軍を演じたジョージ・C・スコットによると「ケネディ大統領が暗殺されてしまったので変更された」と証言している。
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 現在メキシコ・モンテレイの現代美術館(MARCO)で開催中のスタンリー・キューブリック展ですが、オフィシャル・ビデオがアップされていましたのでご紹介。割とシンプルな展示で見やすそうなのは好感ですね。ところで、ここでご紹介した『シャイニング』の迷路模型はこの展覧会から展示されているようです。今までのレプリカは明らかに映画で使用された模型とはレイアウトが異なっており、著しくクオリティが低かったのでこのために作り直したみたいですね。まあどのみちレプリカなのであまり意味はないですが。

 その迷路模型が登場するリポート動画は以下をどうぞ。

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※ジャックが斧で妻子を襲うのは斧がネイティヴ・アメリカンを象徴しているから(原作ではクリケットの槌)。もちろん視覚的に恐怖感を煽るのも理由のひとつだ。

 キューブリックの映画版『シャイニング』では、ホテルに巣食う悪霊の正体が「過去にこの土地を聖地としていたネイティブ・アメリカン(インディアン)の怨霊」となっています。今回はそれを示すシーンや台詞を集め、この事を証明したいと思います。

(1)ジャックがダニーに「ドナー隊の悲劇」に付いて教える

(2)現支配人のアルマンがジャックに「このホテルはネイティブ・アメリカンの聖地で墓地の上に建っている」と説明する。

(3)ホテルの外観が山小屋風で、どことなく西部開拓時代(ネイティブ・アメリカンにとっては搾取・侵略)を思わせる。

(4)ホテルには壁面やカーペットの柄など、ネイティブ・アメリカンの意匠があちこちに飾られている。

(5)ウェンディの髪型やセーターの柄がネイティブ・アメリカン風である

(6)ジャックが禁酒を破る酒が「ジャック・ダニエル」である

(7)ジャックが「白人の責務」に言及する

(8)ジャックやグレイディがハロランを「ニガー」と呼び、白人優位主義で人種差別的である事が示唆される

(9)食料倉庫にカルメット缶のラベルが見えるように置いてある

(10)ジャックが使う凶器が斧(トマホークはネイティブ・アメリカンの象徴)である

(11)ジャックが写る写真の日付が1921年(禁酒法時代)のアメリカ独立記念日(ネイティブ・アメリカンにとっては土地を奪われた屈辱の日)である

(12)ネイティブ・アメリカンの飾りからテニスボールが突然飛び出してくる(このシーンは初公開版には存在したが、思い直したキューブリックによってすぐカットされた)

 以上のように、このホテルに巣食う悪霊の正体がネイティブ・アメリカンの怨霊である事は明確に示されています。また、霊が白人ばかりなのは、ネイティブ・アメリカンにとってヨーロッパから渡って来た白人達はすべて忌むべき存在だからです。

 キューブリックは典型的なアメリカ白人男性が持つ、過去の苛烈な白人至上主義と、現在でも心の奥底に潜んでいるその人種的偏見、そしてかつてネイティブ・アメリカンを迫害したという負い目を巧みに利用し、「ネイティブアメリカンの悪霊によって白人が惑わされ、狂わされ、殺し合いをする」という設定をこのシャイニングに持ち込みました。しかしあえてそれを台詞等ではっきりとは説明せず、本質を隠し、潜在意識に訴える事によって観客を恐怖のどん底に陥れようとしています。一時期問題になったサブリミナルに近い方法論ですが、何気ない台詞や小道具、セットなどはっきりと映像に映っているので「示唆」や「暗喩」の範疇と考えた方が正しいでしょう。そう考えれば、ジャックがネイティブ・アメリカンの怨霊によってホテルに霊として取り込まれるラストシーンでなければならないのが理解できます。これはアメリカ人が背負った罪深い業なのです。その業はアメリカ人である以上、ネイティブ・アメリカンを追放して手に入れた土地に住み続ける以上、逃れられない「業」だからです。

 こうした事実を積み上げてゆくと、何故アメリカで最も怖い映画として『シャイニング』の人気が高いのか、また、その反面日本ではあまり怖いと思われないのかが理解できるかと思います。日本人には過去に他民族を激烈に迫害し、それを良心の呵責として自意識の中に沈殿いるという感覚はない(迫害の事実があったかどうかではなく、その感覚・自覚が無いという意味)と思いますので、この『シャイニング』の怖さが理解できないのです。ネイティブ・アメリカンの怨念を怖がるのは基本的にアメリカ人だけですから、『シャイニング』に全米版、コンチネンタル版の2種類があるのもこういった理由があるからと考えられます。

結論:キューブリック版『シャイニング』で幽霊たちを操り、最終的にジャックをも霊として取り込んだオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体は、かつてこの地を聖地としたネイティブ・アメリカンの怨霊。ロイドやグレイディ、双子の少女やバルルームの幽霊などはその怨霊によって殺された白人の霊で、ホテル=ネイティブ・アメリカンの怨霊に操られているに過ぎない。キューブリックがこのように霊の正体を改変した理由は、アメリカ人の潜在的な罪の意識(業)に訴える事で観客に精神的な恐怖感を与えるため。(キューブリックの言う「夜も眠れなくなるような怖い映画が創りたい」)

 因に原作でも「カルマ/カーマ(業)」が悪霊の正体ですが、映画とは違い「ホテルで繰り返されてきた殺人や犯罪といった悪しき行いや意識などの負の因果」で、そういった因果がうずたかく積もったホテルが悪の化身「悪魔」となり、聖なる輝き(シャイニング)を持つ「天使」の様な少年を取り込もうと画策するも、最終的には父親の「至上の愛」(キリスト教的な自己犠牲を伴う愛)がそれに勝り、悪魔を打ち負かすというストーリーになっています。ところが無神論者であるキューブリックはこの「神聖vs悪魔」というプロットは全く興味を示さず、原作の持つ宗教的な意味合いを全てアメリカの歴史的・人種的なものに改変してしまいました。キングがキューブリックを未だに批判するのは、原作に込めたキリスト教のモチーフを全て捨て去ってしまった事も原因のひとつなのかも知れません。
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