2014年12月

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あなたはどちらが好きですか?

 映画「2001年宇宙の旅」を代表する曲である、リヒャルト・シュトラウスが1896年に作曲した交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。他の映画作品やTVコマーシャルなどでも、この音楽を使った「2001年宇宙の旅」へのオマージュが見られますよね。他にも「美しく青きドナウ」など、同映画には様々なクラシック音楽が使われています。

 でも、実は監督のスタンリー・キューブリックは、クラシック音楽を使うのではなく、ある一人の作曲家を雇っていたんです。その作曲家はアレックス・ノースで、1960年にキューブリックが監督をした映画「スパルタカス」で共に仕事をしていました。ノースが曲を作ってくれたにも関わらず、キューブリック使わず、現在の音楽が採用となったようですよ。ノース本人も、映画が封切られるまでそのことに気付かなかったみたいです。

(以下リンク先へ:GIZMODO/2014年12月31日




 「気付かなかった」のではなく「不採用と教えてもらえなかった」のが正しいのですが、何故今頃こんな話題が・・・と思ったのですが、Rdioでノースの音源が聴けるようになったという記事ですね。

 このRdioというサービス。要するに音楽のストリーミング販売ですが、世界では現在音楽はダウンロード販売からストリーミング販売へとシフトしつつあります。音源をサーバに置いておいて、ネット環境さえあればいつでもどこでもどの端末でも聴けるというのは確かに便利ですが、日本ではなかなか定着しません。理由はいくつかあるようですが、iTunesでさえCDと完全には置き換わっていない上に、YouTubeやニコニコ動画で無料で聴く習慣が定着しちゃっていますからね。それに「大物」といわれるアーティストが未だにダウンロード販売を開始していません。サザンでさえつい最近ですから、普及はまずあり得ないでしょう。単なるデジタルデータより現物を好むという国民性もあるかも知れません。あとは悪名高き「AKB商法」の影響もあるでしょうね。

 このアレックス・ノースのサントラについては以前こちらでレビューしています。

an2001
2001年〜デストロイド・ヴァージョン〜オリジナル・スコア(amazon)

※アレックス・ノース作曲、ジェリー・ゴールドスミス指揮の日本版


Ost: Alex North's 2001 Soundtrack, Import(amazon)

※上記の輸入版


Music for 2001: A Space Odyssey (The Original Score by Alex North) CD(amazon)

※amazonのオンデマンド盤。


「2001年宇宙の旅」オリジナル・サウンドトラック [Soundtrack](amazon)

※採用された楽曲が収録されたオフィシャルサウンドトラック
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 なんだか裏原宿辺りの古着屋でかかっていそうな音楽ですが、マッシヴ・アタックというイギリス・ブリストル出身のユニットが1994年に発表したセカンドアルバム『プロテクション』収録曲のPVです。

 ホテルの廊下、双子の少女、タイプライター、2「37」号室、テニスならぬゴルフなど、全編が『シャイニング』っぽいですがそれもそのはず、監督はブラーの『ザ・ユニヴァーサル』で思いっきり『時計…』をオマージュしていたキューブリック・フォロワーの一人、ジョナサン・グレイザーです。この監督のPVで一番有名なのはジャミロクワイの『ヴァーチャル・インサニティ』でしょうね。こちらのPVはどことなく『2001年…』っぽいのですが、はっきりとしたオマージュがなかったのであえて採り上げませんでした。でも、影響を受けているのは確実でしょう。

 しばらく名前を聞かないなと思っていたら、最近になって「スカーレット・ヨハンソンが脱いだ!」と話題の『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』で映画監督に返り咲き。公式サイトの予告編には「ついにキューブリックの後継者を見つけたかもしれない」というなんとも微妙なキャッチコピーも踊っています。

 それにしても、もう20年も前の曲とPVという事になりますが、古さを全く感じさせないのはすごいですね。


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アンダー・ザ・スキン 種の捕食 [Blu-ray](amazon)
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「ドナー隊が遭難した所ね」
「もっと西だ。シエラ山脈だ」
「ドナー隊って?」
「幌馬車隊だ。雪に閉じ込められてひと冬を過ごしたんだ」
「そして生きるために人肉を食べた」
「仲間の肉を食べたの?」
「そうさ、生きるためさ」
「やめて」
「いいんだ、知ってるよ。テレビで見たもの」
「話したって平気さ、どうせテレビで見てる」

 ドナー隊(-たい、Donner Party)、あるいはドナー=リード隊 (Donner-Reed Party) とは、1846年の春、アメリカの東部からカリフォルニアを目指して出発した開拓民のグループである。彼らは旅程の遅れのために、1846年晩秋から47年早春までシエラネバダ山脈山中での越冬を余儀なくされ、過酷な環境の中で多数の餓死者や凍死者を出した。生存者たちは、必然的にカニバリズム(人肉食)に走らざるを得なかった。

 アメリカ西部への幌馬車による旅は、大抵の場合は6ヶ月を必要とする。しかしドナー隊はヘイスティングズ・カットオフと呼ばれる近道を選択したところ悪路に阻まれ、さらにワサッチ山脈やグレートソルト湖周辺の砂漠地帯を越え、ハンボルト川の谷に従って進みネバダ州に至る間に多くの幌馬車と家畜を失い、グループ内にも分裂が生じた。

 1846年11月、一行はカリフォルニアに至る最後の障壁・シエラネバダ山脈に差し掛かる。しかし早い冬の訪れに伴う大雪に阻まれ、海抜2,000mに位置するトラッキー湖(現在では、ドナー湖と呼ばれている)湖畔での越冬を余儀なくされる。食料は早い段階で尽き、幾人かは雪の山脈を越えてカリフォルニアに助けを求めた。しかし救援隊は1847年2月になるまで到着せず、結局一行87人のうち、生きてカリフォルニアの地を踏んだのは48人だった。歴史家は、この事件を西部開拓史における壮大な悲劇と位置付けている。

(wikipedia「ドナー隊」より)


 トランス一家がホテルに向かう車中で話題にする「ドナー隊の悲劇」。原作でも言及のあるこの台詞はキューブリック版では重要な意味を持っています。上記のwikiの説明にもあるように、これは「西部開拓史における壮大な悲劇」でした。でもそれはアメリカ大陸を我が者顔で侵略した白人達にとっての「悲劇」であって、永らく住んでいた土地を追われ、迫害されていたネイティヴ・アメリカンにとっては「天罰」とも言えるものであったろう事は想像に難くありません。当時のアメリカでは「マニフェスト・デスティニー」という思想が一般的で、これは非文明社会を文明化するのは白人の役目だという実に傲慢なものです。そういった思想の元に西部を目指したドナー一家が見舞われたこの事件にキューブリックが言及したのは、この物語で白人達を狂わせ、お互いを殺害するよう仕向けている悪霊の正体が、その迫害されたネイティブ・アメリカンの怨念である事を示唆する為なのです。

 このネイティヴ・アメリカンへの言及は劇中内で頻出しています。ところが日本では物語の根幹に関わるこの観点から『シャイニング』を語る論評が殆ど見られません。『シャイニング』にアメリカ公開版と国際版がある理由、アメリカにおいて『シャイニング』が最も恐ろしい映画として評価されている理由はここにあると思うのですが、これにつきましてはいずれ検証・考察として記事にまとめたいと思います。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
THE MADISONS/ドナー隊の遭難

※上記のサイトではカニバリズムに至るまでの経緯を半ば面白可笑しく書いてますが、オーバールック・ホテルが建つコロラド州ロッキー山脈から、ドナー隊の遭難したシエラネバダ山脈までは距離があります。なのにあえてこの話題に触れているのは、こういった凄惨な地獄絵図が繰り広げられた地方である事を観客に意識させるためです。日本で言えばさしずめ「八甲田山山中に建つホテル」といったところでしょうか。そんなホテルの冬期管理人を、もしあなただったら引き受けますか?そしてもし引き受けたとして・・・春まで正気でいられますか?
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キューブリック映画の音楽的世界 (叢書・20世紀の芸術と文学) (amazon)


 よくもまあこれだけ事細かにいろいろと理由付けしたもんだ、というのが素直な感想。著者は「名うての完全主義者のキューブリックだから劇伴音楽の〈すべてに〉意味や理由があるに違いない」という観点から、こじつけだろうが三段論法だろうがお構いなしに論を展開している。

 当たり前の話であるがいくらキューブリックと言えども使いたい音楽を全て使えた訳ではなく、著作権者の使用拒否(ピンクフロイドが『時計…』での楽曲使用を拒否した記事はこちら)やレーベル、契約の問題などに幾度となく直面している。カットのリズムに合わない、シーンのトーンにふさわしくない等々、映画製作に於ける楽曲使用の現実的な問題を抱えていたはずだ。その中からベストの曲をチョイスしたのは間違いないだろうが、直感や偶然の選曲もあり、本書のようになんでもかんでも理由付けできるものではないはず。そんな現実を無視して無理矢理理由をこじつけた論にいかほどの価値があるというのか?こちらに著者の妄想につき合う義理などあろう筈がない。

 もちろん納得のいく考察が全くないというわけではない。全てではないにしろキューブリックがあるシークエンスにある特定の意図を持って選んだ楽曲は数多いし、解説や考察に合点の行く論も散見される(まあよく言われている論考の焼き直しでしかないが)。しかし明らかに原稿の水増しを狙った映画のあらすじや印象の羅列、ファンやマニアには良く知られた既報情報の紹介等、音楽からキューブリック作品を読み解くという本書の趣旨とは直接関係ない話も多く収録されている。それに素人ブロガーなりに突っ込ませて頂ければ『アイズ…』のオープニングとエンディングに使用されたショスタコーヴィチの『ワルツ2』はジャズではなく管弦楽であった事が2000年には既に判明している。だが著者は楽曲についてろくに調べもせず「ワルツは原作の舞台であるウィーンを意味し、ジャズは映画の舞台であるニューヨークを意味している」と小学生並みの思いつきに飛びつき、そのまま記事にしている。なんでもかんでも無理矢理こじつけるからこういう赤っ恥を掻くハメになるのだ。(この曲についての管理人の考察はこちら

 著者の明石政紀氏の肩書きは「著述家」というらしい。要するにライターだが、「ライター」とは名乗りたくないのだろう。しかし中身はその名の通りライターレベルの程度の低い書き物でしかない。「二律背反」などというそれっぽく、その実アバウトなワードでくくってみせるあたり、その程度が伺える。そしてそれはあとがきの「原稿のかなりの部分をボツした」というくだりにも現れている。こんな事をわざわざあとがきに書いたのは、実際はその逆「かなりの部分を水増しした」ので、それを読者に悟られたくないためにあえてそう記したのでは?と勘ぐってしまう。その水増し部分『2001年…』の猿人の台詞の採録と行数稼ぎにはおおいに笑わせて頂いた。所詮その程度の著作でしかない、という事だ。

 キューブリックの死後、こういった現実無視の誇大妄想的なこじつけをでっち上げて著作やドキュメンタリーを製作し、一儲けしようと言う輩が頻出するようになった。キューブリック存命中に数多くの論評や本人、もしくは関係者のインタビューに触れていた古参のファンにとって、それらは徒らに「でたらめキューブリック神話」を拡散させている元凶にしか映らない。逝去後にファンになった方は、そういった「でたらめ神話」に惑わされることなく、なるべく存命中か少なくとも逝去の直後に出版された書籍を当たって欲しい。そこに書かれている一次情報を読み込めば、この本に書かれた論にいかにこじつけが多いか、自ずと理解できるだろう。
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coach-kubrick

 ファンションブランド「COACH」の2014年秋コレクションに『シャイニング』でダニー・トランスダニー・ロイド)が着ていた「アポロ11セーター」が登場しています。

 コーチのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、スチュアート・ヴィヴァースがデザインしたこの「ダニー メリノ インターシア クルーネック セーター X」、ヴィヴァースはホラー映画好きだそうで、『シャイニング』にイスパイアされてデザインしたそう(その記事はこちら)。日本の路面店での販売は銀座、表参道、梅田ハービスENTのみ。価格は141,480円。実際に銀座で見てきましたが、太い糸でしっかりと編み込まれた大型サイズのニットで、着こなすにはそれ相応のスタイルとファンションセンスが必要になりそう。しかもキューブリックファンや映画ファンからツッコミに遭うリスクもあるので、買われる方は少なくとも『シャイニング』だけは観ておいた方が無難でしょうね。

 ネットでの販売サイトはこちら


※「アポロ11セーター」登場シーン

情報提供:ちかこ様
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