2013年09月

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Doctor Sleep: A Novel(amazon)


 スティーブン・キングが、1977年の長編小説「シャイニング」の続編「ドクター・スリープ(原題)」が9月24日に刊行されたのにあたり、英BBCのインタビューに応じた。

 キングはそのなかで、スタンリー・キューブリック監督、ジャック・ニコルソン主演で製作された1980年の映画版について「好きですか?」と問われ、「ノー。非常に冷たい映画だ」と即答。「私は冷たい人間ではない。人々が私の小説に感じる要素のひとつに、暖かさがあると思っている。読者に対して物語を共有してほしいと訴えかける感じ。だが、キューブリックの『シャイニング』には、あたかも蟻塚のなかの蟻を観察するかのように登場人物を見ている冷たさを感じる」と話した。

 さらに、「シェリー・デュバル演じるウェンディは、映画史上でもとりわけ女性蔑視的な描かれ方をしている。単に悲鳴を上げるだけの馬鹿な女で、それは私が書いたウェンディとは違う」と嫌悪感をあらわにした。

 キューブリック版「シャイニング」が原作とはかなり異なる部分が多く、キングが当初から批判を繰り返してきたことは広く知られている。なお、続編小説「ドクター・スリープ」では、中年になったダニー・トランス(ジャック&ウェンディ・トランス夫妻の一人息子で、前作ではまだ少年)の物語が展開される。

(映画.com ニュース/2013年9月30日)




 いや、まったくもってその通りで、原作のウェンディはとても洞察力があり、性的にも魅力的な女性に描かれています。映画のようにただ受け身ではなく、機転を利かせたり行動力もありますし。でもキングも語っている通り映画版『シャイニング』の魅力はその「あたかも蟻塚のなかの蟻を観察するかのように登場人物を見ている冷たさ」にあるんですよね。当然続編の『ドクター・スリープ』は小説版のダニーの性格設定を引き継ぐものとして展開するでしょう。ただ今時「成長したダニーがヴァンパイア軍団と戦う」っていうのはどうなんでしょう? あまりにも前作『シャイニング』の世界観と違う気がするのですが・・・。
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 『2001年…』のスターゲートなどの特撮で一躍有名になったダグラス・トランブル初の監督作。詳細はwikiに譲るが、登場人物も少なく、派手な戦闘シーンもない地味な作品。主題歌がジョーン・バエスというところや、地球の環境破壊や植物保存計画など当時のエコロジー/ユートピア思想〜現在のエコ運動とは異なり、ヒッピー文化や共産主義、新興宗教などが入り組んだ過激な思想。公害問題が先進国で深刻化した70年代、原始回帰や自然回帰の思想に共鳴した当時の若者が、自給自足の自由な生活を夢見たコミューン(生活共同体)を形成し生活を始めた。しかし便利な現代社会に慣れっこになっていた若者に農業は厳しすぎ生活は困窮、やがて私利私欲や物欲、利害の対立がはじまりコミューンは崩壊、運動は急速に衰退する。その一部はエコテロリストに変節したり、一部で資本主義の現実を受け入れつつ細々と活動を続けている〜の影響が色濃い作品。

 B級カルトSFとして有名な作品で一部では高い評価もあるが、今観返すと「自らの理想の崇高さを鑑みれば多少の殺人、破壊もやむを得ない」という当時のエコ思想の過激さの一端が覗けて興味深い。もちろん主人公の純粋さやひたむきさに惹かれる部分はあるのだが、それをリリシズムで片付けてしまうにはあまりにも稚拙で短絡的だ。実のところ監督のトランブルのスタンスもよく分からない。エコロジーに共鳴していたのか、批判的なのか、単に当時のトレンドに迎合しただけなのか、それともその全部なのか・・・。いずれにせよ1970年代のアメリカのリアルな「空気」は伝わってくる作品ではある。

 因に植物ドームやラストシーンは某有名アニメの元ネタ。

 『2001年…』で実現できなかった土星の輪の映像化を実現した、という意味でキューブリックファンにも馴染みが深い作品。その『2001年…』ではアカデミー賞のトロフィーをキューブリックに持っていかれたが、今年長年の映画界への貢献を讃えられ、ロカルノ国際映画祭でビジョン賞を授与された。予告編はこちら
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24)

 映画『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』など数々の名作でSFXスーパーバイザーを務めた映画界の大御所、ダグラス・トランブルが、8月7日からスイスで行われるロカルノ国際映画祭でVision Awardを授与されることが明らかになった。

 今年で第66回を迎える同映画祭で、トランブルが関わった中でも代表作の『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』、そしてトランブル自ら監督した『サイレント・ランニング』の3作品を上映し、さらにマスター・クラスというトランブル自ら司会を務め自身の作品について語るイベントも行われる。

 現在71歳のトランブルは、映画『オズの魔法使』で特撮に関わっていたドン・トランブルの息子として1942年に生まれ、NASAと科学映画製作者コン・ペダースンらと共に撮影した初期の映像がスタンリー・キューブリックの目に留まり、『2001年宇宙の旅』の特撮スタッフに招かれ、斬新な撮影技術スリット・スキャンによって伝説の「スターゲート」シークエンスを作り上げた。

 その後、『未知との遭遇』『スター・トレック』『ブレードランナー』などのSFの代表作に関わった。近年では、1秒48〜60コマで撮影する3D映画を監督すると明かし、3D映画会社マグネター・プロダクションズを立ち上げた。

 第66回ロカルノ国際映画祭は現地時間8月7日〜17日まで開催、スケジュールのラインナップは7月17日に発表される。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


(シネマトゥデイ映画ニュース/2013年7月2日)




 『2001年…』の特撮で多大な貢献をしつつも、アカデミー賞のトロフィーをキューブリックに持っていかれたダグラス・トランブルがビジョン賞を受賞ですか。業界内では知らぬ人がいない、と言われる程著名な方ですが一般的な認知度は低いですよね。監督としての才能がもっとあれば違ったのかも知れませんが。ともあれ、受賞おめでとうございます。
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 『シャイニング』に登場する犬男とタキシード紳士のホモセクシャルなシーン。原作では犬の着ぐるみを着た男、すなわち「犬男」が廊下の真ん中に立ちはだかり、ダニーをジャックの元に行かせないように吠えたり脅かしたりして邪魔をする、というシーンに登場します。(このシーンに紳士は登場しません)つまり犬男を目撃するのはダニーなのです。でも映画でこの幽霊を目撃したのはウェンディでした。キューブリックはどうしてこんな改変を行ったのでしょう?理由は主に二つ考えられます。

 まず、ダニーでなくウェンディが目撃する理由ですが、キューブリックは撮影によってダニー役のダニー・ロイドに恐ろしい目に遭わせ、トラウマにならないように細心の注意を払っています。ダニーが直接幽霊を目撃するのは双子の少女だけですが、撮影の現場を考えれば当然生きた二人の女の子ですから怖い撮影ではなかったではずです。それに比べダニーがこの犬男を目撃するシーンを撮影するとなると、着ぐるみを着た犬男の役者が、ダニーに向かって吠えたり叫んだりしなければなりません。これはダニー・ロイドにとって恐怖の体験になったはずです。子供は異様に着ぐるみを怖がったりしますから。キューブリックは小さな子供にそんな恐ろしい目に遭わせるのは可哀想だと思い、ウェンディが目撃する事にしたのではないでしょうか。当事者のダニー・ロイドは「ホームドラマの撮影をしていると思っていた」そうです。大人には手厳しいキューブリックですが、子供には徹頭徹尾優しかったようです。

 次に何故映画では「犬男と紳士のホモシーン」に変更されたのか考察します。例えば原作通りにウェンディが廊下で犬男を目撃したとします。でも、相手は犬の着ぐるみを着た役者がワンワン吠えたり叫んだりしているだけです。小さな子供ならともかく、大の大人がそんなもの怖がるでしょうか?もし撮影したとしてもとても滑稽で、失笑もののシーンにしかならなかったでしょう。では大人が恐怖に感じる犬男のシチュエーションとはどういうものか?これは想像ですがキューブリックは原作に登場する様々な幽霊(原作には舞踏室のパーティーで、初代支配人のダーウェントがその腰巾着であるロジャーを犬扱いしてからかうシーンがある。しかもダーウェントはバイセクシャルだ)を参考に、あれこれ試したのだと思います。その中でなんだか訳は分からないけど、とにかく一番怖かったのがこの「犬男とタキシード紳士のホモシーン」だったのではないでしょうか。

 キューブリックはそれほどにもこの「犬男」が気に入っていたのでしょう。原作でも映画でもホテルは今、幽霊たちによる(仮装)パーティーの真っ最中である事が徐々に分かってきます。そんな大盛況のパーティーを抜け出してお楽しみの真っ最中だった犬男と紳士・・・。そういえば同じシチュエーションをキューブリックは『アイズ…』でも繰り返しています。そう、オープニングのクリスマスパーティーでのジーグラーとマンディの浮気のシークエンスです。パーティー嫌いだったキューブリックにとってパーティーとは「つまらないからこっそり抜け出してエッチな事をするもの」という認識があったのかも知れません。パーティーをパーティーとして楽しまない(楽しめない)キューブリックらしい発想、と言えるでしょうね。

結論:犬男とタキシードの紳士の正体は、階下の仮装パーティーを抜け出して部屋でホモ行為に及んでいた幽霊(原作のパーティーシーンに登場する犬男ロジャーと初代支配人のダーウェントを参考にした可能性あり)。原作では廊下でダニーを驚かす犬男のみだったが、このように改変された理由は上記の通り。

 このシーン、よっぽどインパクトがあるのかよく話題になりますが、どれも上手く説明できていないようです。キューブリックは文章で画を想像させる場合と、実際に画として表現する場合との違いをはっきり分けて考える監督でした。CG全盛の昨今「リアルな映像にしても、リアリティのあるシーンになるとは限らない」という事実が実感できるかと思います。それをキューブリックは1970年代のこの頃にはすでに気づいていたました。(遡れば『2001年…』の頃からすでにそうでした)『シャイニング』映像化におけるキューブリックの成功とキングの失敗の違い(TV版『シャイニング』の該当シーンはこちら)はこの認識の有無にあるのではないでしょうか。
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 1962年6月13日、ニューヨークのブロードウェイ、ローズ・ステートで行われたロリータのプレミアを報じたニュース映像です。スー・リオン(この時15歳)の傘を持つ付き人がハートのサングラスをしているのが可笑しいですね。キューブリックもクリスティアーヌを伴って登場。こういった華やかな場所は苦手なはずですが、なかなかどうして堂に入っています。
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