2006年06月

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The_Overlook_Hotel

 『シャイニング』の舞台となる、アメリカのコロラド山中にある眺望が売り物のホテル。ネイティヴ・アメリカンの墓地の上に建てられ、またマフィアの抗争など数々の惨劇の舞台になったため、悪霊が住み着くようになったという設定だが、キューブリック版ではセリフと内装にその一端が伺えるだけ。

 モデルになった実在のホテルは3つあり、キングが小説版を執筆した際に宿泊していた「スタンリー・ホテル」。ここはキング版でも舞台になっている。キューブリック版は、外観は「ティンバーライン・ロッジ」を使用し、内装は「アワニーホテル」を参考にしている。特にアワニーホテルは映画の雰囲気そのままで、ロビー左手奥のエレベーターもそっくり。くれぐれもここに泊まって壁にテニスボールを投げつけて遊びたいと思ってはいけません。
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シャイニング〈上〉 (文春文庫)(amazon)



シャイニング〈下〉 (文春文庫) (amazon)


 現在はホラーだけでなく、ありとあらゆる小説がベストセラーになり、そのかなりの作品が映画化されているスティーブン・キングのベストセラー傑作ホラー小説。

 圧倒的な筆力と構成力で、読むものをぐいぐいと引き込んでゆく手腕は流石で、ホラーファンならずとも、一級のエンターテイメントとして十分に堪能できる作品に仕上がっている。こんなに楽しめる小説を、ああいう形で映画化したら、原作者が怒るのも無理はない、と読後に納得させられる程の高い完成度だ。

 だが、それは小説という、映像を頭の中で描く媒体だからこそ成立する話であって、映画という、映像をそのまま受け手に見せてしまう媒体では、B級ホラー映画に成り下がってしまうのは避けられない。キューブリックが、そんな陳腐な代物を撮るはずもなく、慎重に原作を取捨選択や改変・追加し、独自の世界観を創出してみせたという事実は、もっと評価されてしかるべきだろう。

 しかしキングは、その映像センスは認めつつも、原作をズタズタにされ、骨抜きにされた恨みからか、長年に渡りキューブリックを酷評してきた。ところが'97年になって、突然この『シャイニング』をリメイクするというチャンスが訪れ、「映画版『シャイニング』について、今後いっさいあれこれ言わない、との条件を呑めば映像化権を渡す」との取り決めをキューブリックと交わし、自身で製作したTV版『シャイニング』を完成させる。つまり現在では、小説版、映画版、TV版と三種類の『シャイニング』が存在するのだ。

 多少複雑な経過をたどった本作であるが、映画版・TV版は、その物語の消化の方法において、好悪が分かれるきらいがあるかも知れない。しかし、この小説版が誰の目にも傑作であることに異論はないだろう。
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現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD](amazon)


 前作『非常の罠』の製作中に知りあった、プロデューサー志望のジェームズ・B・ハリスとコンビを組み、「ハリス=キューブリックプロ」を結成。その素人同然の若い二人がハリウッドに乗り込んで作った、キューブリック実質の的なメジャーデビュー作品。

 物語は、競馬場の馬券売場を襲い現金を奪う計画を、5人の男達が緻密な計画と正確な行動で実行したものの、ちょっとしたミスから破綻してしまうというもの。いかにもキューブリックが好みそうな物語だが、この本を見つけ、キューブリックに奨めたのはハリスだった。

 ハリウッドでは組合の力が強いため、カメラを覗けなくなったキューブリックは、ベテランカメラマン、ルシアン・バラードとかなりの軋轢を起こしたようだ。例えば、競馬場の外観も、ハリウッド的に綺麗に撮られたものをしようせず、小型カメラでニュース映像風に撮り直したり、室内を画像の歪みも承知の上で広角で撮影したいと主張したりしている。犯罪サスペンスの臨場感と緊張感を生み出す効果を狙っての事だが、綺麗に平板に撮る事を良しとした当時のハリウッドでは、全く理解されなかった。

 また、犯罪の瞬間からひとりずつ時間を戻して、この犯罪に荷担しなければならなかった背景を、それぞれについて語るという手法は斬新なものだったが、これもハリウッドの上司は認めず、時系列に添った、より直線的な編集をするように指示した。しかし、原作のこの構成が気に入っていたキューブリックとハリスはそれを無視。このまま公開する。

 結局この映画はヒットとはならなかったが、幸いにも業界内では話題となったため、その映像センスと斬新な構成は高く評価され、ハリウッド内での地位を築く最初の足掛かりとしての役目は充分果たしたようだ。

 ラストシーン、飛行機のプロペラの風にあおられて舞い上がる200万ドルは、「小さな紙切れ」に執着する人間をあざ笑うかのようで、愚かしくも悲しい物語のラストを飾るにふさわしいものだった。メジャーデビュー作にしてこのシニカルなエンディングを用意するあたり、自身の思う通りに撮れなかった作品ではあるにせよ、ただ者ではない事を感じさせるには充分な作品だ。
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2001年宇宙の旅 [Blu-ray](amazon)


  題名/2001年宇宙の旅
  原題/2001:A Space Odyssey
 公開日/1968年4月6日(152分、カラー、シネラマ)
日本公開/1968年4月11日
製作会社/MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)
  製作/スタンリー・キューブリック
  監督/スタンリー・キューブリック
  脚本/スタンリー・キューブリック
     アーサー・C・クラーク
  撮影/ジョフリー・アンスワース
     ジョン・オルコット
  編集/レイ・ラヴジョイ
  音楽/リヒャルト・シュトラウス
     ヨハン・シュトラウス
     アラン・ハチャトーリアン
     ギョルギ・リゲッティ
  美術/トニー・マスターズ
     ハリー・レンジ
特撮考案/スタンリー・キューブリック
特殊効果/ウォーリー・ヴィーヴァース
     ダグラス・トランブル
     コン・ペダースン
     トム・ハワード
  出演/ケア・デュリア(デヴィット・ボーマン)
     ゲイリーロックウッド(フランク・プール)
     ウイリアム・シルヴェスター(ヘイウッド・フロイド博士)
     ダグラス・レイン(HALの声)
     ダン・リクター(月を見るもの)
     レオナード・ロシター(スミスロフ)
     マーガレット・タイザック(エレナ)
     フランク・ミラー(地上管制官)
     ヴィヴィアン・キューブリック(フロイト博士の娘)
     ほか
  配給/MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)
  受賞/1968年アカデミー賞
     特殊視覚効果賞(スタンリー・キューブリック)受賞



 約400万年前のアフリカ。肉食を知らない人類の祖先「猿人」は絶滅の危機に瀕していた。そんなある夜、群れの眼前に謎の黒い石版「モノリス」が突如として現れ、それに触れた猿人達は「武器を用いる」という啓示を受ける。骨という武器を手に入れた猿人達はバクを撲殺して食肉を得、他の群れを殺して水飲み場を確保し、絶滅の危機からこの星の支配者へと変貌を遂げたのだった。

 西暦1999年、地球衛星軌道上のスペースシャトルにはフロイド博士ただ一人が搭乗していた。彼はある特命を帯びて月へ向かう途中で、それは月面で謎の黒い石版が掘り出されたのでそれを調査せよというものだった。衛星軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで月連絡船に乗り換えて月に向かうフロイド博士。月では伝染病発生の噂が流れていたが、それは謎の石盤発掘を他国に悟られないためにアメリカ政府が流したデマだった。月に到着した博士は会議の後、早速発掘現場であるティコ・クレーターに向かう。そこには猿人の前に現れた「モノリス」と同形の物が発掘されていた。やがてモノリスは太陽の光を浴び、謎のノイズを発するのだった。

 西暦2001年、木星へと向かう惑星探査船「ディスカバリー号」の船内。現在活動しているのは船長のデイヴィット・ボーマンと副船長のフランク・プール2人だけで、残りのクルー3人は惑星探査が専門なので人工睡眠中だ。宇宙船の全ての管理を行っていたのはコンピューターHALだ。活動中のクルー2人はHALの監視とマスコミ対応が主な仕事で、退屈ながらも平穏無事な空気が船内に流れていた。突如HALがアンテナの故障を予報した。2人はアンテナの修理を決定し、船外活動を経て問題の発生したユニットを交換する。ところが持ち帰ったユニットには何の異常も見られなかった。悩んだ2人は発生の原因を突き止めようと、問題があると報告されたユニットをアンテナに戻し、実際に故障が発生するか確かめる事にした。しかし同時にもっと深刻な事態であるHALの故障である可能性を考慮し、HALの切断も検討していた。

※ネタバレ注意

 予定通りプールがユニットをアンテナに戻すために船外に出た。するとスペース・ポッドが暴走しプールを弾き飛ばしてしまった。あわてたボーマンは別のポッドでプールを救出する。その間にHALは人工冬眠中の3人を殺害した。ボーマンはプールを抱えポッドで船に戻ってきた。しかしHALは船内に入るのを拒否。読唇術で2人が自身の切断を検討している事を知ったHALは、全ての人間を排除する実力行使に出たのだった。HALに翻意の可能性がないことを悟ったボーマンはプールの遺体を遺棄し、ポッドの扉を爆破するという強硬手段で船内に戻った。すぐにHALのロジック・メモリー・センターにおもむき、切断作業に着手する。その時、突然秘匿されていたビデオ・メッセージが流れ、この旅の本当の目的が告げられた。画面に現れたフロイド博士は、2年前に月で謎の石盤が発掘され、それが地球外知的生命体のものだと判明した事。その石盤が信号を発した先に木星があった事。その調査に5人のクルーとHALが当たる事。そして真の目的はHALにしか知らされていなかった事が告げられた。

 木星圏にただ一人到達したボーマンは軌道上に巨大なモノリスを発見し、スペース・ポッドで調査に向かった。すると突然宇宙空間から光が溢れ出し、その中に吸い込まれていった。夢とも現実ともつかない光の回廊を抜けたボーマンは白いホテル風の部屋に到着する。そこには食事もベットも用意されていた。しかし時間の進むスピードが早く、あっという間に年を取り死の床についた。するとそこにモノリスが現れ、手を延ばすとボーマンは胎児(スター・チャイルド)に変貌を遂げ、地球圏へと帰還した。スター・チャイルドとして宇宙に浮かぶボーマン。その瞳が見詰める先には青い地球が光っていた。
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 元の脚本によると、ラストシーンは原作通りに、夜明けに寝室でビルがアリスに全てを告白するシーンで終わっている。なのにわざわざおもちゃ屋のシークエンスとこの台詞をつけ加えたのには、特別な理由があると考えられる。やはり「ファック=セックス」という意味だけではないのだ。劇中やたらアリスがこの言葉を口にするのも、ラストシーンだけでいきなり口走ってしまうと、唐突すぎてしまうからではないだろうか。

 このアリスを演じたキッドマンに「ファック」は「似合わない、下品だ」とか、「いや、上流社会の人間も一皮剥けばこんなもんだ、という皮肉だ」とか的外れな論評ばかり撒き散らしたメディアの責任は大きい。だが、一番の戦犯は字幕で「セックスよ」と訳した戸田奈津子氏だろう(ダブルミーニングなので「ファックよ」と訳すべき)。つくづくキューブリックとは相性の悪い翻訳家だ。
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