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 『時計…』で、アレックスの部屋に置いてあったオブジェ。「ザ・ロッキングマシーン」と同じくハーマン・マキンク作。無神論者であるキューブリックは、本作でのキリスト教(聖書)の扱いを「暴力」とし、救済とは決して捉えていない。それは原作者でもあるアンソニー・バージェスも同じだったが、ある時期から突如として映画『時計…』を「物語の最後の救済の部分を描いていない」とキューブリック批判を展開している。真意は謎のままだ。


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スタンリー・キューブリック―期待の映像作家シリーズ (キネ旬ムック―フィルムメーカーズ) (amazon)


 作品レヴューはもちろん、詳細なデータや年表、対談や座談会など、キューブリックに関するあらゆるものを詰め込んだムックの決定版。特に幻の処女作『恐怖と欲望』の詳細なレビューは読みごたえあり。ただし『アイズ…』に関しては出版時期が公開直後のためか、論点の定まっていない意味不明な混乱した評ばかりなので、参考程度に留めておくべきだろう。
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※映画で使用された音源のフルバージョン。キューブリックはイントロの後、後半Aパート(男性コーラスあり)にとび、前半Bパート(コーラスなし)に戻り、そして後半サビ(コーラスあり)からエンディングと編集している。

 第二次世界大戦中に流行した、ヴェラ・リンが歌うセンチメンタルなポップ・ソングで、戦地に行った夫や恋人への想いを歌い、当時兵隊達の間で大流行した。

 キューブリックが『博士…』のラストシーンで、核爆発のキノコ雲の映像にこの歌を使ったのは、「また会いましょう」と言いながらまた会えるとは限らず、むしろ「もう会えないかもしれない」事を言い出せない当時の兵隊の切ない気持ちを、全世界レベルに引き伸ばす為であり、一部で言われているような「脳天気なラブソングを悲惨な映像に使うという皮肉」ではない。それは、この歌詞を見れば分かる通りだ。

 また会いましょう、どことも知らず、いつとも分からないけれど
 でもいつかまた晴れた日に会いましょう
 いつものあなたのように笑顔を絶やさないで
 青空が暗い雲を吹き飛ばしてくれるまで

 知ってる人に会ったら、ハローと言って
 もうじき私に会えると伝えてちょうだい
 私がこの歌を歌っていたと知れば
 きっとみんな嬉しがるでしょう

 また会いましょう、どことも知らず、いつとも分からないけれど
 でもいつかまた晴れた日に会いましょう


 悲しい歌を悲惨なシーンに使うというのはむしろ常套手段で、たいしたアイデアではない。実はキューブリックがすごいのは「青い空」や「晴れた日」、「暗い雲を吹き飛ばす」といった歌詞に乗せ、核爆発の映像を見事にシンクロさせて編集している所だ。これこそ「皮肉に満ちた救いようのない絶望的な結末」を表現するにふさわしいキューブリックならではの感性だろう。それを映画で是非確認して欲しい。
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George C. Scott (IMDb)

 『博士の…』でタージトソン将軍を演じた。他の出演作には『ハスラー』('61)、『パットン大戦車軍団』('70)、『ヒンデンブルグ』('75)、『炎の少女チャーリー』('84)、『エクソシスト3』('90)、『グロリア』('98)などがある。 『パットン…』では、アカデミー主演男優賞を受賞した。『恋とペテンと青空と』('67)ではスー・リオンと、『タップス』('81)では若き日のトム・クルーズと共演。1927年10月18日アメリカ・バージニア州生まれ、1999年11月22日没。
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未知への飛行 フェイル・セイフ [DVD](amazon)


 ついにDVD化なりましたね、冷戦時代の隠れた名作『未知への飛行』。衝撃的なラスト・シーンは今日観返しても全く色褪せてなく、第一級のポリティカル・フィクションとして楽しめます。愚直だけど緊迫感溢れる演出を、最近のハリウッド映画はこの映画からもっと学んで欲しいものです。

 詳しいストーリー等はリンク先で確認して頂くとして、やっぱり気になるのは『博士』との関係。どうやら当時、両映画の原作の間で盗作騒ぎがあったらしく、キュー側が訴えられてしまったそうです。でも、裁判はキュー側が勝訴。この話題性に目をつけたコロンビアが映画化権を獲得し、(『博士』もコロンビア)両方ともヒットさせてしまいました。

 監督はシドニー・ルメット。実直な演出では定評ありますね。主演はヘンリー・フォンダ。大統領を静かに熱演してました。一時代を築いた名優で、ジェーン・フォンダやピーター・フォンダのお父さんです。一方の『博士』といえば、監督がキューで脚本がテリー・サザーン、そして主演がピーター・セラーズとなるわけで、どこまで行っても好対照のこの2作品、続けて観るのも一興かも。

 キューは『博士』から『2001年』、『時計』で巨匠の名を欲しいままにしたけど、ルメットは『オリエント急行殺人事件』、『狼たちの午後』『評決』で「名監督なんだけど地味」。ならばと、コメディー・タッチの『ファミリー・ビジネス』を撮ったりしてるんですが、やっぱり評価は「悪くないんだけど地味」。

 まあ、平気で地球を破滅させるぐらいの肝っ玉がないと巨匠にはなれないという事でしょうか?
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