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 今ハリウッドで最も旬な2人、ジェニファー・ローレンスとクリス・プラットをダブル主演に迎え、極限状況に置かれた男女の愛と運命を壮大なスケールで描くスペース・スペクタクル・ロマン『パッセンジャー』(2017年3月24日日本公開)。極限状況に置かれた、男女の愛の物語の裏に、あの名作サスペンス『シャイニング』(80)の要素があったことを、主演のクリス・プラットが明かした。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:ハリウッドニュース/2017年4月1日




 現在公開中の『パッセンジャー』に、『シャイニング』のオマージュが仕込まれているという話はチラホラとネットでも話題になっていましたね。上記の予告編にもオマージュされたバーシーンが登場しています。シャイニングカーペットらしいものもチラっと映りますね。宣伝部的には「宇宙版タイタニック」として売り出しているみたいですが、他にも様々な要素が盛り込まれているようで、評判は悪くないみたいです。

 ただ・・・ハリウッドニュースさん、「ジャック・ニコルソン演じるロイドは、誰もいるはずのない無人のバーに度々出入りし、ロイドという存在しないバーテンダーと語らう。この時点からロイドの精神状態は少しずつおかしくなり始めるのだが・・・」って完全に間違ってますよ。ジャック・ニコルソンはロイドではなくジャック・トランスです。ロイドはバーテンダーの名前ですね。またもや「ちゃんと観たんかい!」とツッコミたくなる初歩的な間違いですが、これで「ハリウッドニュース編集部」って名乗っちゃうってどうなんでしょ? ロイド→ジャックの単純な間違いなんでしょうが、校正もロクにしないネットメディアの情報の正確性ってこんなものなんでしょうね。

 元ネタのバーシーンはこちら。

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the-shining-ending-picture
※『シャイニング』のエンディングに登場する1921年の独立記念日パーティーの写真。この写真の合成前の元ネタ写真はこちら

The Shining producer explains ending changes

The Shining is a horror cinema masterpiece, and figuring out its haunting and iconic ending was no easy task for Stanley Kubrick. Below, executive producer Jan Harlan and screenwriter Diane Johnson (who wrote the script with Kubrick) explain in greater detail than ever before how the legendary director considered several very different conclusions for the iconic 1980 film.

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Entertainment Weekly/2017年3月30日




 ざっと翻訳ソフトを使って読んだところ

・キューブリックはホラー映画に興味はなかった。
・キューブリックはダニーと父親との関係に最も興味を持っていた。
・キューブリックはスプラッターシーンを好まなかった。
・スタッフがキューブリックにラストシーンの説明を求めたところ「幽霊映画だ、忘れなさい」としか言わなかった。

 なおかつハーランやジョンソンの見解として

・ストーリーや制作上の連続性の欠如(ミス)が多くの陰謀論を生んでしまった
・屈辱的なのはホロコーストと結びつけたもので、それはホロコースト被害者を侮辱するものだ。
・ジャックがスクラップブックを地下室で発見するシーンは重要だと思っていたがカットされてしまった。

 新しい事実として

カットされた病院のシークエンスを写したポラロイド写真はキューブリックの三女、ヴィヴィアンが撮影したもの。

 残念な話として

・未使用やカットされたシーンのネガは全て廃棄された。

 このインタビューにはキューブリックとともに小説の脚本化を担当したダイアン・ジョンソンも同席していますが、彼女は「ジャックはどういうわけかホテルの輪廻を通した存在でした」という『シャイニング』の物語の核心部分を語っています。これはキングの小説版とは決定的に違う考え方です。小説『シャイニング』は、シャイニングというタイトルの着想源がジョン・レノンの曲『インスタント・カーマ』であることから、「カーマ」つまり「業(因果)」がテーマになっています。

 小説では過去にホテルで行われた数々の悪行が「業(負の因果)」として積もり積もってゆき、やがてホテル自体が悪霊を呼びよせる悪魔のような存在へと変質していったことが示唆されています。しかしキューブリックはこの「ホテルを悪の化身」としたアイデアを採用せず、ホテルを「輪廻を繰り返す時空を超えた存在」として描いています。なぜ物語の根幹に関わる重要な変更をしたのかというと「輪廻によって現在と過去が結びつかなければ、アメリカという国が持つ過去の忌むべき歴史に言及できない」からだと思います。

 この件はここでも検証しましたが、それも含めて整理しますと

●原作小説

ホテルの正体:悪魔
その理由:ホテルで行われた数々の悪行(業・負の因果)の結果
幽霊たち:悪魔の忠実なしもべ
ジャック:ダニーの聖なる力(シャイニング)を手に入れるための捨て駒
ダニー:聖なる力を持つ少年(天使)

●映画版

ホテルの正体:輪廻を操るネイティブアメリカンの怨霊
その理由:ネイティブアメリカンの聖地を汚し、土地を奪ったから
幽霊たち:ネイティブアメリカンの怨霊によって殺され、輪廻に閉じ込められた白人の霊
ジャック:ネイティブアメリカンの怨霊によって殺され、輪廻に閉じ込められる
ダニー:???(ダニーのシャイニング能力についてははっきりとした説明はない)

ということになるでしょう。

 よくキューブリック作品は「ストーリーが破綻してしまい、結局観客に投げっぱなし」と誤解されるのですが、そんなことは絶対にあり得ず、こういった「裏設定」がしっかりと構築されています。よく知られているのは『2001年…』ですが、これはもう一方の原作者であるクラークが、積極的に情報を開示したからで、『シャイニング』『フルメタル…』『アイズ…』にも裏設定は確実に存在すると思います。ただ上記の記事の通り、スタッフが訊いても「忘れなさい」としか言わない説明嫌いのキューブリックからそれを導き出すのはかなり大変です。このブログでも様々な検証や論考を記事にしていますが、これらはあくまで管理人個人の考えでしかありません。まあでもご覧になっている方の「とっかかり」程度にはなるかと思いますので、是非参考にしてみてください。
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 1960年代くらいまでのハリウッドは動画の説明にある通り、全体を明るく照らすキーライト、影に当てる補助光のフィルライト、輪郭を強調するために後ろから当てるバックライトの三点照明が一般的でした。しかし報道カメラマン出身のキューブリックは、いかにも「スアジオ内で撮影されました」感ありありのこのライティングを好まず、初期の頃から「自然光撮影」を好んで採用してきました。ただ、この「自然光撮影」という言葉は自然光、つまり人工照明を一切使わず、天然の自然光のみで撮影されたかのような印象を与えてしまうのであまり適切とは言えません。この動画のタイトルも「Practical Lighting(現実的照明)」となっていますので、当ブログでも今後は「現実的照明」もしくは「現実照明」という表現を採用したいと思います。

 キューブリックは屋外ロケでも屋内ロケでもスタジオ撮影でも、「現実にそこにある光源」をそのまま利用するソース・ライティングを基本に、それを補助したり、強調したりする目的で照明を使用しました。よく引き合いにだされる『バリー…』でのロウソクのシーンですが、ロウソクの光源だけで撮影したわけではなく、気付かれない程度に補助的に人工照明も使用しています。

 また、キューブリックはセットも照明の効果を最大限に引き出すことを考慮したデザインをさせ、『シャイニング』ではニコルソンの狂気の表情をより効果的にするためにバーカウンターにライトを仕込んだり、トイレのドアをノックするシーンでは、さりげなくテーブルランプを顔の下に置いたりしています。さらに『アイズ…』では照明が与える視覚的な印象を最優先に考えて、劇中の時期をクリスマスにしたのだと考えられます。クリスマスのイルミネーションや室内のクリスマスツリーの輝きが、妖しい物語全体を美しく彩っています。それはキューブリックが照明が映像に与える効果を計算の上、脚本に干渉して物語の時期を指定したのでしょう。

 こういった「視覚優先」の映画作りができるのも、キューブリックが映画制作の全権を掌握しているからに他なりません。分業制が確立し、それぞれの役割を果たす権利を、それぞれが強固に握っているハリウッドではセットデザイナーや脚本家の意見が優先され、いかに監督といえどもそれを簡単に覆すことはできません。キューブリックはインタビューでハリウッドに背を向けた理由を「スキャンダルや噂話など、映画制作に関係ないことで煩わされたくないから」と応えていますが、この「分業制と権利意識による弊害」を嫌ったのも大きな理由だと思います。

 『007私が愛したスパイ』で、敵基地のセットデザインをピカピカにしてしまったケン・アダムは、どう照明を当てていいのか途方に暮れた挙句にキューブリックに助けを求めたというエピソードからも、いかにキューブリックの「照明に対する知識と経験の豊富さ」が周囲に認められていたかを伺い知ることができますね。
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2001a-space-odyssey-bedroom

2001 A Space Odyssey bedroom film set recreated at 14th Factory art space

Serendipity had a big part to play in the replica of the bedroom scene from Kubrick’s 2001 A Space Odyssey which is currently on display at the multi-media art space The 14th Factory in downtown Los Angeles.

(全文はリンク先へ:Film and Furniture/2017年3月




 ロサンゼルスにあるアートスペース「第14工場」で、『2001年宇宙の旅』で登場した白い部屋を再現した展示されているそうです。ディテールはちょっと甘いですが、なかなかの再現度ではないでしょうか。

 『2001年…』に登場した「白い部屋」、撮影現場では「ホテルルーム」と呼ばれていましたが、それはこの部屋が「異星人が人類のテレビ番組をモニターしていて、そこに登場したホテルの部屋をコピーしたもの」だからです。クラークの小説版では、ボーマンはこの部屋の正体を突き止めようと部屋を歩き回り、水道水や冷蔵庫の中身まで調査。その後シャワーを浴び、ベッドでTV番組を見ていると、この部屋がそのTV映画のワンシーンにそっくりそのまま登場するのを発見し、ボーマンはこの部屋のカラクリを知ることになるのですが、キューブリックはそういった説明的な描写は避け、老いてゆく自分自身をその都度発見するという抽象的な表現になっています。

 キューブリックが小説版のような描写を嫌ったのは、神話的な映画のラストシーンで生活感を出したくなかったからだと思いますが、一応はこんなシーンの撮影も検討しています。実はこの「白い部屋」のシーン、台本では「ボーマンが部屋をうろついてやがてモノリスを発見する」としか決まっていなかったそうで、様々なアイデアを現場で試しているうちにあの形になったそう。キューブリックは観客に対して「わかりやすさ」より「視覚的美しさ」を優先させる監督なので、映画で描かれる事象についていくのは大変です。それに加えて「これだけ示唆や暗喩をしておけば伝わるだろう」という判断のハードルも高いので、ちょっと気を抜くと置いてけぼりを食らってしまいます。こういった点が「キューブリック作品は難解」と言われてしまう所以なのですが、当人は「全部説明してしまったら面白くない」と事あるたびにインタビューで語っています。

 因みにモデルになったホテルはロンドンにある高級ホテル、ザ・ドーチェスターです。

2017年4月2日追記:「『2001年宇宙の旅』に登場する「第四のモノリス」こと白い部屋を完璧に模したインスタレーション」としてFNMNLが記事にしていますが、「「第四のモノリス」こと白い部屋」って意味がわかりません。よくよく考えると恐らく「第四のモノリスがあった白い部屋」という原文の「あった」を「こと」と誤訳したんでしょうね。だとすると、ちゃんと映画を観て記事を書いていないのでは? と疑いたくなるレベルの恥ずかしい間違いです。ここも今流行りのキュレーションサイトのようですが、「アクセス稼ぎにやっきになるばかりで記事の質が低い」という昨今の批判を裏付ける様な失態でとても残念です。
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 スティーブン・キング原作の同名小説をスタンリー・キューブリック監督が映画化したホラー映画『シャイニング』には観客に強烈な印象を残した「グレイディの双子」というキャラクターがいる。

 イギリスに住むマーティン・ヒューズさんは、自分に双子の女の子が生まれると分かった瞬間から、もうあのシーンがやりたくてやりたくてうずうずしていたそうだ。

 だもんだから、こうなった。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:カラパイア/2017年3月28日




 
 まあ気持ちは痛いほどわかりますが、元ネタがホラー映画だけに大人になった時に恨まれないようにしないといけませんね。ところで記事中「ちなみに映画に出てくるグレイディの双子は実際には双子ではなく、双子に見える2人の姉妹が演じていたそうだ」とありますが、これは間違って伝わっているものです。整理すると以下のようになります。

●原作

グレイディの娘たちとして管理人のワトソンやグレイディの幽霊からその存在を語られる。8歳と6歳の姉妹。

●キューブリックの映画版

クレイディの二人の娘として遊技場や廊下に出没する。ただ設定上双子かどうかははっきりせず、グレイディ本人も「二人の娘」としか語っていない。

●キューブリック版の女優

リサとルイーズの双子の姉妹。二人とも1968年生まれ。立ち位置は左がリサで右がルイーズ。

おそらく原作の設定がいつのまにか演じた女優の話にすり替わったのだと思いますが、演じたのはリサ&ルイーズ・バーンズという正真正銘の双子です。この間違い、訂正されないまま定着しちゃっていますので、この機会に正しい情報を記憶していただけたら嬉しいですね。
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