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EWS1
画像引用:IMDb - Eyes Wide Shut

二度とセ○○スしたくなくなる映画5選

〈前略〉

『アイズ ワイド シャット』

 最後まで聞いてください。この映画は、神秘的で圧倒的な性の力と、それが私たちのすべてを推し進めることについてのものであるはずですが、どういうわけか性行為とセクシュアリティが少し誇張されているように見えます。ニコール・キッドマンのキャラクターは、休暇中に見た素敵な水兵に本当に欲情しましたか? そして、その告白に悩まされたトム・クルーズ演じるキャラクターは、本当に殺人的な性的イルミナティを嗅ぎ回る必要があったでしょうか? 時々、スタンリー・キューブリックのような芸術的な天才が、エロスにはそれだけの価値がないことを見せてくれます。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:The Cut/2020年2月5日




 バレンタインデー特集にこういう記事を載せるニューヨーク・マガジンもどうかと思いますが、そんな記事にちゃっかりとランクインしている『アイズ ワイド シャット』は流石というべきか、なんというか(笑。

 『アイズ…』は非常に曖昧な物語ですが、非常に明確な一言で終わるという、いかにも「キューブリックらしい意地悪な」作品です。キューブリックは愛だの恋だの、そんな人間の表面的な「情緒」を描くことにはあまり興味がなく、人間の本質を鋭く突く描き方を好む映画監督です。それはこの『アイズ…』でも同じで、明るい未来と夫婦の絆の再確認を予感させる原作のラストシーンを改変し、シニカルで意味深な終わり方をさせています。

 ですので、この「二度とセ○○スしたくなくなる」(伏せ字はお察しください。笑)映画という意味においては、「そんな情緒的な気分をぶっ飛ばす何か」がある作品ばかりが選ばれているわけですが、要するに「バレンタインデー(海外では単に「愛の日」という扱い)にカップルで観るにはおすすめできない」ということです。その名誉に預かった(笑)5作品とは以下の通りです。

第1位:『ミッドサマー』
第2位:『ザ・ルーム』
第3位:『アイズ ワイド シャット』
第4位:『ウォッチメン』
第5位:『ローズマリーの赤ちゃん』

 ちなみに第5位に選ばれている『ローズマリーの赤ちゃん』は、キューブリックのお気に入りの作品の一つでした。ただ、キューブリックは鑑賞する側であれば、情緒的でない作品ばかりでなく、情緒的な作品も好んでいます。つまり「観るのは嫌いじゃないけど、自分で作りたいとは思わない」ということだと思いますが、世間一般にありがちな「作った作品=その人の人格」という誤解(というか決めつけ)に悩まされたのはキューブリックも同じですね(『時計…』での脅迫事件などはその最たる例)。まあ、そんなことは自分自身が「創作者(たとえどんなレベルであっても)」になってみれば単なる誤解だと即、理解できることなんですが、創作経験のない人ほど「決めつけ」の傾向があると思うのは、私だけではないと思います。


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 <サム・メンデス監督が第一次大戦を描いた『1917 命をかけた伝令』(日本公開は2月14日)が、第92回アカデミー賞の撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門で受賞。全編を「ワンカット」に見せるためのトリックを随所に採用し、最高の映像テクニックで戦争を表現することに成功した>

〈中略〉

 終戦から40年後に発表されたスタンリー・キューブリックの反戦映画『突撃』(1957年)も、カメラを据え付けた台車をレールに載せて移動させる撮影手法で、塹壕戦を指揮する傲慢な将校たちの姿を巧みに描いた。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Newsweek日本版/2020年2月11日




 アカデミー賞でも話題を集めた『1917』ですが、いよいよ今週末公開になります。この作品、キューブリックの『突撃』を引用して解説する記事があちこちで見受けられましたが、この記事もその一つですね。ただ細かいことを言えば塹壕シーンは「台車をレール」ではなく、塹壕の底に板を敷き、その上をカメラを乗せた台車を走らせました。写真も残っています。

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 それはともかく、このシーンでカーク・ダグラスは「周囲や後方の爆発を気にとめることなく、ずんずんと歩き進む」のですが、現在では定番になっている登場人物の「力強さ・勇気」を表現するこの手法、これを最初に撮ったのはキューブリックで、それはこの『突撃』ではないか?という話があります。もし『突撃』以前に同じようなシーンがあるのをご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。

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公式サイトのプロモーション動画には「アリエス1B宇宙船」も登場。

 一体いつまで待たせるんだ・・・と待ち続けた、ロサンゼルスに開館予定の「アカデミー博物館」の開館日が2020年12月14日に決定したようです。当初は2017年、次に2019年と何度も延期になっていましたので、今回は確実・・・なんでしょうね?

 当ブログでも何回もご紹介している通り、この博物館で展示される予定の『2001年宇宙の旅』で実際の撮影に使用された現存する唯一のモデル、「アリエス1B宇宙船」もしっかりとPVに登場しています。修復は終わっているようで、窓の中もしっかり再現されていますね。

 映画ファンの聖地となり、ロサンゼルスの新たな観光スポットになるには確実でしょうから、いい施設にしたいのはよく分かるのですが、この建物、実は新築ではなく改築なんですよね。元々はメイ・カンパニーというデパートだった建物で、歴史的に価値があるとされたために改築に手間取ったのではないかと予想しています。まあそうだとしても「予定は未定」でしかないのはいかにもアメリカらしいですが。

 場所は、2013年に『スタンリー・キューブリック展』が開催されたロサンゼルスカウンティ美術館(LACMA)の隣。公式サイトはこちら。楽しみですね。

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 老舗映画YouTubeチャンネルの「WachMojo」。そのあまりにも独断と偏見ぶりに、いわゆる一つの「ネタ動画」だと思って見るべきチャンネルではあるのですが、そのMojoの日本版がオープンしたのにはいささか驚きました。これで本家の動画が自動翻訳なしに見れる・・・と思ったのですが、肝心の邦訳動画よりも、日本版独自のサブカル系動画を充実させるなど、思ったより違った方向に走ってしまっているようです。まあ本家も近年はサブカルネタも多く採り上げるようになってはいるんですが、これは単に中の人の好みなんでしょうか?

 それはともかくも、この動画です。タイトルを見て「まさか・・・」と思ったのですが、第1位がその「まさか」でした(笑。でもナレーションは特に何を解説するでもなく、ごくありきたりなもので、だったらどうしてこれを1位に持ってきたのかとても謎です。この動画に採り上げられている作品よりもっと有名な「理解できない映画」なんていくらでもありますからね。まあ、これも単に「中の人の好み」なんでしょう。

 この1位の作品を「面白い」と思っている人は、少なくとも(自分なりには)「理解」はしているはずです。キューブリックは「難解」であっても「理解」できるようには(不親切ですが)作っています。ですので「面白くない」「つまらない」と感じる人は「理解していないから」だということを自覚してほしいといつも思うのです。人間誰しも「理解できないもの」を「面白い」とは思わない(場合が多い)ものです。野球のルールを理解できていない人に、いくら野球の面白さを伝えようとしたところで伝わらないのと同じことです。もちろん理解した上で「つまらない」「面白くない」と批判や批評をするのはアリだと思います。ですが、この作品について語る時、「野球のルールを理解できていない人が、野球を見てつまらないと言っているのと同じレベル」であることは、残念ながら多くの場合に当てはまるのです。ですので「理解し」「面白い」と感じている私たちと話が全く噛み合わない・・・。そんな経験、皆様にも一度はあるのではないでしょうか。

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アカデミー撮影賞発表シーンは1:59から。

SK&METY
『スパルタカス』を撮影中のキューブリックとラッセル・メティ。

 「スタンリーと撮影監督ラッセル・メティの仲は散々なものだった。冗談なのか本気なのかわからなかったが、ラスはよく『さあ、あのブロンクスのユダヤ男をクレーン車から追い出してやろう』と言った。スタンリーはちっとも気に留めなかった。少しもだ」(ローレンス・オリビエ)

 「ラッセル・メティにとって、キューブリックはやっと髭が生えてきた青二才にしか思えなかったのだろう。『こいつが映画を監督するのか。こいつにカメラを置く位置を指示されるのか。冗談だろう』それが彼の態度だった」(トニー・カーティス)

(引用:評伝『映画監督 スタンリーキューブリック』より)




 ラッセル・メティは『G・I・ジョウ』(1945)、『凱旋門』(1948)、『心のともしび』(1954)、『荒馬と女』(1961)など数多くの作品に参加し、ハリウッドの黄金期を支えた伝説的な撮影監督で、特にオーソン・ウェルズの『黒い罠』(1958)では冒頭の長回しによる撮影が有名です。そんなメティにとってアンソニー・マン監督の代わりにやってきた、当時若干30歳のキューブリックなど青二才にすぎず、20歳以上も年上の自分がキューブリックの指示に従うなど屈辱以外の何者でもなかったのでしょう。一時期、クレジットから自分の名前を削除するように求めたこともあったそうです。

 一方のキューブリックはカメラマン出身でもあり、撮影に関しては並々ならぬこだわりを持っていました。ハリウッドデビュー作『現金に体を張れ』で、名カメラマンのルシアン・バラードと対立した時と同じように、『スパルタカス』おいても相手が誰であろうと、自流を貫き通しました。プロデューサーであるエドワード・ミュールにメティが辞めると脅した時も、キューブリックは「黙って椅子に座って仕事をすればいい。僕が撮影監督をやる」と言い放ったそうです。

 『スパルタカス』は1960年アカデミー賞で撮影賞(カラー)を受賞しましたが、撮影監督のクレジットはメティなので受賞したのはメティでした。しかし、前述の通り実際にその仕事をしたのはキューブリックでした。メティはアカデミー賞受賞における興行的な価値を考え、受賞を辞退したり、表立って映画やキューブリックを批判することは避けましたが、この動画で見られる「ちっとも嬉しそうではない受賞スピーチ」は、そんなメティの屈辱的な思いが透けて見える、非常に貴重なものだと言えるでしょう。

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