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英題は『Warning from Space』もしくは『Mysterious Satellite』、監督は島耕二。



 最近、Twitterで『ゴジラ』の本多猪四郎監督宛にキューブリックが贈ったサイン入り『フルメタル・ジャケット』のシナリオ・フィルムブックが古書店で発見され、話題になっていました。


 実はキューブリックは『2001年…』の制作に際し、参考になりそうな古今東西のSF映画を片っ端から観ていて、それは以前この記事この記事でご紹介した通りです。その「片っ端から観たSF映画」の中には日本の作品も含まれてました。そのひとつがこの『宇宙人東京に現る』です。

 ソースは以下になります。

 1957年、アレグサンダー・ウォーカーは、キューブリックのニューヨークのマンションで『突撃』についてのインタビューを行った。インタビューが終わり、ウォーカーが去ろうとすると、映画のフィルムがキューブリック宛に配達されてきた。ウォーカーがその題名を見ると、日本のSF映画だった。ウォーカーはキューブリックに向き直り、「宇宙映画をつくるのか」と尋ねた。キューブリックは「お願いだ。書くことには気をつけてくれ」と言って、ウォーカーを睨みつけた。

(引用先:『映画監督 スタンリー・キューブリック』

In his biography of Stanley Kubrick, author John Baxter traces Kubrick's interest in science fiction films, which led to his 2001: A Space Odyssey, to the Japanese kaiju eiga films of the 1950s, including Warning from Space, with its "nameless two-metre-tall black starfish with a single central eye, who walk en pointe like ballet dancers."
Baxter notes that despite their "clumsy model sequences, the films were often well-photographed in colour ... and their dismal dialogue was delivered in well-designed and well-lit sets."

(引用先:wikipedia/Warning from Space


 1957年といえば『突撃』の撮影とポストプロダクションの年です。その後映画は完成し、ニューヨークでの上映が1957年12月25日から。それに合わせてキューブリックがニューヨークに滞在し、そこにウォーカーがインタビューを申し込んだのなら、時期は1957年の年末だと特定できます。上記wikiには『宇宙人東京に現る』は1957年に英国のBBFCによって『Warning from Space』として英語化された(It was passed for release, anglicized as Warning from Space, by the BBFC in the United Kingdom in 1957)とあります。キューブリックは長年SF映画、それもUFOや宇宙人に関する映画を撮りたがっていたのはよく知られていますので、そのキューブリックの興味を惹き、なおかつこの時期に英語で観ることができた作品なら、上記の「日本のSF映画」とは『宇宙人東京に現る』だと言えるでしょう。また、ジョン・バクスターの『Stanley Kubrick: A Biography』(未邦訳)には「1950年代のいくつかの怪獣映画といっしょに観た」との記述があるそうなので、それに『ゴジラ』が含まれていた可能性があります。

 このように「知る人ぞ知る」映画までチェックしていたキューブリックが、大ヒット作であり、その後の数々のモンスター映画に影響を与えた『ゴジラ』を観ていない可能性は低く、その監督である本多猪四郎の名前を知っていてもおかしくはありません。『フルメタル…』のシナリオ本をサイン付きで贈ったのも本多猪四郎をリスペクトしてのことでしょう。キューブリックが黒澤明の大ファンであったことはよく知られた事実です。また、当時海外で有名とまでは言えなかった手塚治虫に『2001年…』の美術監督をオファーするほど、細かいところまでリサーチしていた(これはもう「偏執狂的リサーチマニア」といっていいほど)キューブリックが、本多猪四郎を知らないはずがありません。キューブリックは人種や国籍に関係なく、「優れたものは優れている」と評価する監督でした(「だから私はそれよりもいいものを作らなければならない」とも語っていた)。本多猪四郎とキューブリックの間に、手紙のやりとりなど直接的な交流があったかどうかはわかりませんが、このように状況証拠を積み上げるだけでもキューブリックのリサーチエリアの広さを伺い知ることがます。もっとも本人は極度の出不精だったので、連絡はいつも電話や電報、手紙(のちにFAX)が主だったようです。

 1964年になるとキューブリックは『2001年…』の制作を本格化させますが、その頃になってもリサーチを欠かしませんでした。そうなると本多猪四郎監督の他のSF映画『地球防衛軍(The Mysterians)』『大怪獣バラン(Varan the Unbelievable)』『宇宙大戦争(Battle in Outer Space)』『妖星ゴラス(Gorath)』なども観た可能性は十分あります。それに、たとえ上映中でなかったとしても配給会社からフィルムを取り寄せて自宅で観ることができたのですから、それこそ(アメリカやイギリスの配給会社が買い取った)世界中のSF映画を観ていたと考えてよさそうです。そう考えれば本多猪四郎をキューブリックが知っていたのはもちろんのこと、「よろしければどうぞ」的に本を贈るくらいのリスペクトを示す関係に疑問を挟む余地などない、と言えるでしょう。

2017年10月16日追記:キューブリックはこの時期に観た多くのSF映画を「絶対的なリアリズムに欠けている」と非難していて「キューブリックが観た=キューブリックが評価した」という意味ではないことに注意してください。キューブリックが片っ端から映画を観る目的の多くはリサーチであったことは知っておくべき事実です。尚、キューブリックが「評価した(気に入っていた)」作品のリストはこちらにご紹介済みです。
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Barry Lyndon Special Edition, Criterion Collection Blu-ray(amazon US)

キューブリックの遺志通り、ヨーロッパビスタ(1.66)で収録されたクライテリオン版BD。見本映像にはしっかりとピラーボックスが見える。


バリーリンドン [Blu-ray](amazon)

キューブリックの遺志に反し、ピラーボックスなしのワイドサイズで収録されたワーナー版BD

 一体これこれの混乱は何だったの? と言いたくなりますが、やっと正しいアスペクト比1.66のヨーロッパビスタでリリースされました。

 キューブリックは『現金…』から『バリー…』まで、ヨーロッパビスタの1.66で視聴されることを念頭に映画製作をしてきました(例外は『スパルタカス』とシネラマの『2001年…』)。しかし状況はキューブリックの希望とは異なり、アメリカンビスタ(1.85)がヨーロッパビスタを押しやって業界標準の地位を築いてしまいました。仕方なくキューブリックは『シャイニング』から、TV放映やビデオ化を睨んで撮影はスタンダード、上映はその上下をトリミングしてヨーロッパビスタとアメリカンビスタ両方に対応できるフォーマットで映画製作を行いました。なぜならビスタサイズでフィルム制作してしまうと、テレビのスタンダードサイズ(1.33)に収まりきらず、勝手に左右をバッサリカットしてオンエアされてしまう可能性があったからです(あの時代の映画のTV放映ではそれが当たり前で、切れると読めなくなるタイトルやスタッフロールなどは無理やり長体変形をかけてオンエアしていました)。

 キューブリック逝去後、テレビはワイド(1.78)が標準になったため、「ビスタサイズのフィルムの左右をバッサリカットしてオンエア」という問題はなくなり、上映サイズ(ヨーロッパビスタ・アメリカンビスタ)≒ワイドテレビサイズでの視聴が当たり前になりました。それに対応して『シャイニング』以降のワイドTV対応のDVD/BDはピラーボックス(左右の黒い帯)はありません。しかしヨーロッパビスタでの上映のみを想定していた『現金…』(BDは日本未発売)『突撃』(BDは日本未発売)『ロリータ』『博士…』『時計…』『バリー…』のDVD/BDには1.78と1.66のサイズ差を埋めるピラーボックスがなければなりません。それが守られていなかったのは『バリー…』のBDだけでしたが、今回のクライテリオン版の登場で、やっとそれが果たされたというわけです。

 一時期行方不明と言われていたマスターが見つかったなど、事の詳細はプレスリリースがないので不明ですが、マスターから4Kスキャンされたという画質も見本映像を観る限り期待できそうです。キューブリックの遺志が尊重されたこのバージョンのワーナー版のリリースを是非ともお願いしたいですね。

 クライテリオン版BD『バリー・リンドン』の詳細情報はこちら、本家クライテリオンの紹介ページはこちらへどうぞ。
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DK8UKRyWAAA5SeJ
FULL METAL JACKET DIARY


 『フルメタル…』のジョーカー役、マシュー・モディーンが2005年に発表した書籍『フルメタル・ジャケット・ダイアリー(FULL METAL JACKET DIARY)』のiOSアプリ版(1300円)が、セール中につき240円と大幅にお安くなって期間限定で販売中です。

 こちらのリンクで詳細をご確認の上、各iOSデバイスのApp Storeから入手してください。というのもiTunes12.7から、iTunesからApp Storeにアクセスできない仕様に変更されたからです。つまりPCで購入→iOSデバイスにインストールという方法が使えなくなったのです。iOSアプリをPCで管理していた方はご注意ください。

 その『フルメタル・ジャケット・ダイアリー』ですが、マシュー・モディーンが撮影した『フルメタル…』撮影中の数々のオフショットは貴重なものも多く、必見の価値ありです。それぞれの解説文(朗読付き)もなかなか興味深いです。未入手の方は、お得なこの機会にぜひどうぞ。
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 現在Amazonで『11月3日はビデオの日』セールを11月3日まで実施中です。対象商品中キューブリック作品は以下の10タイトルです。ところで、11月3日がなぜ「ビデオの日」かというと

 1996年11月にDVDが発売されて2016年で20年。また、2006年11月にBlu-rayが発売されて2016年でちょうど10年。それぞれの誕生日を記念して、「11月のお休みの日にはゆっくりおうちでビデオを見てほしい。」という気持ちを込め毎年祝日となっている11月3日を「ビデオの日」として制定しました。

(引用先:日本映像ソフト協会ホームページ


ということらしいです。

 まあ、なんにせよお安くなるのなら文句はありません。この機会にキューブリック作品や、それ以外のDVD/BDをお得に入手しましょう。




アイズ ワイド シャット [Blu-ray]



フルメタル・ジャケット [Blu-ray](amazon)



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時計じかけのオレンジ [Blu-ray]



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mt

 メディコム・トイはジャンルや枠に縛られない自由なトイメーカーだ。精巧なアクションフィギュア、世界的な人気を誇るBE@RBRICK、レトロなソフトビニール製人形。「自分たちが欲しいものをつくる」という確固たる意思のもと、ファッションや音楽やアートの領域とも縦横無尽に行き来をしながら成長を続けてきた。設立21年目を迎えた今、代表取締役社長の赤司竜彦氏は現状をどのように捉えているのだろう。

〈中略〉

赤司 発表から少し時間がかかってしまいましたが、やはりスタンリー・キューブリック監督の商品「RAH アレックス」「MAFEX SPACE SUIT/発売日調整中」)はぜひご覧になっていただきたいです。

特に『時計じかけのオレンジ』のアレックスを作ることは自分にとって3大悲願のひとつだったので、夢が叶ってしまって一抹の寂しさもあります。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:OPENERS/2017年7月21日



 キューブリック作品の版権管理がきちんと行われるようになった関係からか、オフィシャルなグッズやモデルが次々とリリースされていますが、特にこのアレックスのフィギュア化は悲願だったそうです。その思い入れは発表された写真を見る限り、こだわり抜かれた素晴らしいもののようですね。『2001年…』の宇宙服姿のボーマンとプールですが、こちらもクオリティは高く、現在発売中です。管理人も東京スカイツリータウンのメディコムトイで宇宙服フィギュアの現物を見てきましたが、なかなかできは良いように感じました(・・・が、管理人はフィギュアは完全に門外漢であることをご承知おきを)。

 このメディコムトイですが、以前『時計…』の「ロッキングマシーン」「クライスト・アンリミテッド」のレプリカを発売していましたが、再発されるとの噂もあるようです。今後のメディコムトイの発表には要注意ですね。


RAH リアルアクションヒーローズ RAH RAH アレックス 「時計仕掛けのオレンジ」 ABS&ATBC-PVC製 塗装済み 可動フィギュア(amazon)



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MAFEX マフェックス SPACE SUIT YELLOW Ver. 『2001: a sapce odyssey』 ノンスケール ABS&ATBC-PVC塗装済み アクションフィギュア(amazon)
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