このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
PSAU_4
出品されたキューブリック作品のプロップの中では536万円以上と、一番落札予想価格の高い『シャイニング』の斧。

 以前こちらで記事にした、2019年9月30日よ10月1日にロンドンBFI IMAXで開催されるプロップストア・ライブオークションの出品カタログ(PDF)が閲覧、ダウンロードできるのでご紹介。カタログに掲載されているキューブリック作品関係は以下の通り。

PSAU_1

『2001年宇宙の旅』

(3)キース・ハムシャーによる宇宙ステーションVのライティングテスト写真
(複写・限定版)
[予想落札価格500〜700ポンド/67,000〜94,000円]

(4)ロバート・マッコールによる宇宙ステーションVのイラストレーション
(複写・限定版)
[予想落札価格400〜600ポンド/54,000〜80,000円]

PSAU_2

(5)ロバート・マッコールによる月面シーンのイラストレーション
(複写・限定版)
[予想落札価格400〜600ポンド/54,000〜80,000円]

(6)ロバート・マッコールによるディスカバリー号と木星のイラストレーション
(複写・限定版)
[予想落札価格400〜600ポンド/54,000〜80,000円]

(7)キース・ハムシャーによる白い部屋とモノリスのライティングテスト写真
(複写・限定版)
[予想落札価格400〜600ポンド/54,000〜80,000円]

(8)ロバート・マッコールによるディスカバリー号の遠心機のイラストレーション
(複写・限定版)
[予想落札価格400〜600ポンド/54,000〜80,000円]

(9)キューブリック直筆のプロダクションメモ
[予想落札価格1,200〜1,800ポンド/161,000〜241,000円]

(10)プロダクションに使用した台本ファイル
[予想落札価格2,000〜3,000ポンド/268,000〜402,000円]

PSAU_3

『バリー・リンドン』

(96)ライアン・オニールが着用したグレーのコート
[予想落札価格2,000〜3,000ポンド/268,000〜402,000円]

PSAU_4

『シャイニング』

(619)ジャック・ニコルソンが使用した斧
[予想落札価格40,000〜60,000ポンド/5,364,000〜8,046,000円]

PSAU_5

(620)ジャック・ニコルソンが着用したドレスシャツ
[予想落札価格2,000〜3,000ポンド/268,000〜402,000円]

 これ以外にもあるわあるはマニア垂涎のお宝ばかり! 『スター・ウォーズ』『エイリアン』『プレデター』『ゴーストバスターズ』『バットマン』『ギャラクティカ』『ジュラシック・パーク』『ロード・オブ・ザ・リング』『グレムリン』『ジョーズ』『インディ・ジョーンズシリーズ』『007シリーズ』などなど枚挙にいとまがありません。PDF266ページにおよぶこのボリューム感はすごい! オークションに参加する・しないは別にして、ダウンロードして眺めているだけでも幸せな気分に浸れるのでオススメです。

LAU
カタログのダウンロードはこちら。






KUBRICK.Blog.jp おすすめ記事





    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote


 キューブリックの劇映画処女作『恐怖と欲望』は、ニューヨークのギルド劇場で1ヶ月間の上映の後、全米のあちこちの映画館やドライブインシアターに回されることになったのですが、その上映館の中には二番館、三番館、果てはポルノを上映する劇場までありました(詳細はこちら)。キューブリックにしてみれば、それは屈辱以外の何ものでもないわけですが、配給権をジョゼフ・バースティンが握っている以上、そのバースティンは利益を確保するためには手段を選ばなかったであろうことは容易に想像できます。

 その上映の中で、ロキシー・シアターで上映された際のポスターが残っていて、そこには『The Male Brute(野生の男)』なる映画と同時上映されたことがわかっています。『恐怖と欲望』と同様、『野生の男』もまるでポルノであるかのような売り出し方ですが、実はこれはフランスの名匠、ジャン・ドラノアの佳作『海をみた少年』であることはここで記事にしました。この映画もジョゼフ・バースティンが配給権を持っていたので、売れない映画どうしを抱き合わせ、ポルノまがいに宣伝し、少しでも資金を回収しようとした意図が読み取れます。その、ポルノにされてしまった『海をみた少年(原題:Le Garcon sauvage)』の予告編の映像がYouTubeにありました。これを観ただけでもポルノでないのは明らかです。

 キューブリックが映画制作を始めた初期は、このように制作費の支払いや、次作の制作資金捻出のために権利を譲りわたすことを余儀なくされていました。そのことは後に「自作の権利を全て自分が保有する」「そのためなら自作に関係する事柄全てに干渉する」という考えに至り、それを実行します。このように、小説や絵画や音楽などの世界では当たり前だと思われている「作者が自作の権利を保有する」という「常識」が、映画では「異例」と思われている現実をキューブリックは変えたがっていました(少なくとも自身だけでもそうすべきと考えていた)。しかしそれは現在に至るまで「異例」であり続け、キューブリックが当たり前と考えて行った自作への執着ぶりを揶揄する風潮は今も変わりません。

 キューブリックが劇映画処女作『恐怖と欲望』で得た経験と屈辱は、その後の映画制作に関するスタンスを決定づけました。その傍証として、同時上映されたこの『海をみた少年』が受けた同様の屈辱的な扱いが、それを証明していると言えるでしょう。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
villege

 『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』Tシャツがヴィレッジヴァンガードで発売中との情報を聞きつけ、さっそく買ってきました。デザインは『2001年…』1種、『時計…』『シャイニング』がそれぞれ2種、色は全種類白と黒の2種、サイズ展開はS・M・Lの3種、価格は2,000円(税別)です。

 生地は柔らかくもしっかりとしていて、丈夫で着やすそうな肌触り。プリントはGUのものより大きめです。どうやらヴィレヴァンならどこにでも置いてあるわけではなく、現在は下北沢店と渋谷本店だけのようで、入手は店舗に赴くしか今のところ方法はありません。ヴィレヴァンにはネット通販サイトもありますが、人気商品ですので、通販サイトに掲載される前に売り切れてしまえば元も子もありません。売れ行き次第では取り扱い店舗が増える可能性もあるので、最寄りのヴィレヴァンにお問い合わせ窓口が用意されているのでしたら、問い合わせてみるのも良いかと思います。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
nope_1
おもちゃ箱をひっくり返したような、様々な映画やおもちゃ、お菓子関係のグッズが壁一面に飾られた店内。つぶさに見ていけば意外な発見があるかも?

 2019年8月18日にオープンして以来、「トイレが怖い!」と話題になっている東京・代々木にある『cafe&DINE in "nope"』に行ってきました。

 入店してすぐ、壁一面に飾られたアメリカントイなどの様々なグッズに圧倒されますが、これはおもちゃをただ「陳列」するのではなく、「壁一面に張り巡らす」をコンセプトに、映画モノを中心とした時代感あふれるアメリカントイで店内を埋め尽くしたから。そして、やっぱり気になるのはシャイニング・カーペットとその先にある「237号室」。ハロランさんにキツく「決して入るな!237号室には何もない!!」と忠告されていましたが、気になるものは気になります。はやる心を抑えて、とりあえずは着席してまずはオーダー。

 メニューは、日本だとあまり食べる機会の少ないフィリーチーズステーキ、マッケンチーズ、チリコンカンなどのアメリカ定番料理がメイン。その中でも特におすすめなのは、フィリーチーズステーキをチーズホットサンドで挟んだフィリーチーズステーキサンド。デザート系ならスニッカーズの味を再現したスニッカーズミルクシェイクや、シネマを意識したポップコーン味のミルクシェイク、キャラメルポップコーンとチュロスをトッピングしたコンセッションミルクシェイクなどで、他ではなかなか味わえないものばかり。これらおいしいお料理やドリンクをゆっくりと味わいながら、「生理現象」が到来するのを待ちましょう。

 「生理現象」を催したら、意を決してトイレへ直行。トイレは入口からして嫌な予感。カーペットもルームナンバーも鍵もエレベーターの階数表示も何かを思い出させます。本来ならキッチンナイフを持っていくべきかもしれませんが、当然ありませんので代わりにハンカチを持参してください。

nope2

 扉を開け、中に入ってみると「嫌な予感」は的中! やっぱりあの方が「おコンバンワ!!」恐怖におののくあの方も!! 60ものドアをぶち壊し、撮影に3日間もかけたという例の顔が扉の裏側からお出迎えしてくれます。こんな顔に睨まれると出るものも引っ込みそうですね。

nope3

 映画でちらっと映るだけのシャワーや、逃げられない窓枠まで完備しているのもすごい。「お願い!ジャック!やめて!!」「ダニー逃げて!隠れるのよ!!」さらに、ファンならトイレに流れる「BGM」も聞き逃せませんよ!

nope4

 というわけで、キューブリックファンであればとっても楽しめるのですが、元ネタを知らないと「単に怖いトイレ」ということになってしまう可能性があります。ですので、「なにこれ!意味わかんない!」と言われたら、「これを観ればわかるよ」と、さりげなく『シャイニング』をオススメして、鑑賞後に再度お店を訪れればより楽しめるでしょう。

 もちろん『シャイニング』ネタばかりでなく、『スター・ウォーズ』『スター・トレック』『スーパーマン』『バットマン』『スパイダーマン』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『E.T.』『グレムリン』などの映画グッズ、様々なトイのクロスオーバー、マイケルやワム!などのポップ・ミュージック、スピルバーグのサインなどなど、店内は80'sであふれかえっています(映画『レディ・プレイヤー1』の世界観と重なったのは偶然だったそうですが、偶然とは言いつつも、ちゃっかりと「3本の鍵」を映画の内容に沿って店内装飾の中に紛れ込ませているそうです)。あの時代を知っている人には懐かしく、知らない人には新鮮に感じる・・・そんな「懐かしき良きアメリカ」にタイムスリップできる、まるで「おもちゃ箱の中」のようなお店です。

 店内のおもちゃは日々増殖中で、シーズンごとに一部模様替えをしたり、公開中の映画に合わせた模様替えも展開予定(バットマン80周年記念に合わせて壁面棚をバットマンで埋め尽くしたり、ハロウィン仕様にするなど)だそうです。『シャイニング』トイレも徐々にパワーアップするとのことですので、キューブリックファンとしても期待できますね。

 お店の場所は代々木ですが、JR・都営大江戸線代々木駅はもちろん、小田急線南新宿駅、そしてJR新宿駅からも南口や新南口を使えば徒歩でアクセスできます。新宿サザンテラスを南に向かって歩き、階段を降りてファミリーマートすぐの信号を右に渡り、目の前の路地を少し歩いた右側のレンガのビルの2階です。

 営業時間は午前11時から午後10時まで、年中無休ですが不定休でお休みの場合もあるので、公式Twitterをチェックしておきましょう。

cafe&DINE in "nope"
東京都渋谷区代々木1-58-7 2F
TEL:03-6276-1983

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
Douglas_Trumbull_FMX_2012

〈前略〉

 トランブルが“フィルムメーカーになろう”と思ったのは、「2001年宇宙の旅」撮影中のこと。「まずは、背景のアニメーション・イラストレーターとして作品に関わることになった。それまで映画作品での経験のない僕が、突如キューブリックとの仕事に携わる――ある意味、映画学校に通うようなものだった」と述懐。トランブルは、劇中に登場する全てのスター(星)を担当することになった。

 「キューブリックは、カメラを異なった(1秒24コマ以上の)スピードで上下左右に動かしながら、スターのテスト撮影をしていた。そして、全てのショットを2重投影(ダブル・プロジェクティング)させ、宇宙船の動きに対して、スターの動きがどのように影響を与えるのかを調べていた。それが、あの“スターゲート・シークエンス”の始まりだ。その時から、僕はHFR(ハイ・フレーム・レート)にとりつかれてしまったんだ」

 「監督の手法を今作で変えることができるかもしれない」とトランブルに告げていたキューブリック監督。「(観客を映画に没頭させるために)肩なめショットでとらえたり、馬鹿げたメロドラマの設定にしたり、セリフで全てを説明しなくても、映像だけで観客が夢中になれる映画が作れる」と語っていたそうだ。さらに“観客が宇宙にいる感覚”を目指し、さまざまなショットをとり除く作業を進めていった。「『監督の手法を変えること』という言葉は、今でも耳に残っている。『2001年宇宙の旅』は、約50年前の作品だ。しかし、その手法に触れた僕には、今作が“未来の映画”になるとわかっていた」

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年9月12日




 キューブリックが『2001年宇宙の旅』で目指したものは記事の通りですが、ダグラス・トランブルがそれに多大な貢献をしたのは厳然たる事実で、当時それに見合う「賞」を得ていなかったのもまた事実です。「賞」はなくても『2001年…』での仕事ぶりがハリウッドで高く評価されたトランブルは、映画界でのキャリアを切り開いていったのですが、特撮マンとしての彼の評価は高くても、映画制作者としての評価はさほど高くはありません。そういう意味ではトランブルは「チャンスを活かしきる才能」が足らなかったのかな、と思いますし、また、この記事で語られている「ナタリー・ウッド事件」が与えた影響は、表向きで言われている以上に大きかったのではないか、というのを感じさせるインタビューになっています。

 トランブルはその後ハリウッドを離れ、博覧会やテーマパーク向けの映像制作を手がけるようになるのですが、再度「映画制作者」としてのチャンスは結局訪れませんでした。事件の影響や特撮のCG化による時代の変化はあったにせよ、ハリウッドはもう少しトランブルにチャンスを与えても良かったのでは? と思わずにいられません。

 キューブリックはそんなハリウッドの「映画制作以外の雑事」に関わることを避けるために、イギリスに住み続けましたが、そんな身勝手(ハリウッド側から言えば)な行動が許させるほど、キューブリックの才能や力量、影響力はハリウッド中から認められていました。しかし、それを手に入れるために大変な苦労と努力を払ったことはファンなら周知の事実です。一方のトランブルのキャリアは、キューブリックが忌避したまさしく「ハリウッドの闇」によって葬り去られてしまいました。1970〜80年代にかけてのトランブルの名声の高さを覚えているSFファンにとっては、もうちょっと彼の作る映像を映画館で観てみたかった、というのが本音ですね。


ダグラス・トランブルが監督した『ブレインストーム』の予告編。

このページのトップヘ