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 キューブリックはこれとおなじことを『2001年…』では垂直で行いましたが、NASAは水平で実験していました。映像は水平に回転する遠心機を俯瞰(真上)から撮影したものです。最初は1分間に4回転のスピードで0.1G、次は1分間に9回転のスピードで0.5Gの人工重力(遠心力)を発生させ、どの程度人間が歩けるかを検証しています。

 映像を見る限り0.1Gではちょっとおぼつかないですが、0.5Gでは体が落ちずに床に足がしっかりくっつき、歩きやすそうに感じます。『2001年…』の小説版によるとディスカバリー号は「10秒に1回転で月とほぼ同じ重力」とあるので、この映像の表記に合わせると1分間に6回転で1.65Gとなります。0Gでの映像もありますが、体のコントロールは全く不可能です。まあこれは当然でしょう。

 しかし、こんな巨大な金属の塊がブンブンと宇宙船の船内で1分間に6回転もしているというのは、ちょっと現実離れしているような気もします。『2010年』に登場したレオノフ号のように、遠心機は船外にある方が現実的ですね。もしくは船体全体が回転するとか。そのレオノフ号船長は「危険な風車」とドッキングするのを嫌がってましたが、その意味がこの映像を見るとはっきりとわかりますね。
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アイズ ワイド シャット [Blu-ray]


 スタンリー・キューブリックの監督作「アイズ ワイド シャット」に迫るドキュメンタリー「SK13(原題)」の企画が進行中であることをVarietyなどが報じた。

(全文はリンク先へ:映画ナタリー/2017年10月22日




 記事にある「Filmworker(原題)」とは、『バリー・リンドン』でブリンドン卿を演じて以来、片腕として長年キューブリックを支えてきたレオン・ヴィタリのドキュメンタリーですが、その監督が『アイズ…』のドキュメンタリーを企画中とのことだそうです。

 1999年の公開時には全く話題にもなっていなかった「イルミナティ」とか「フリーメイソン」とかのくだらないこじつけ陰謀論を聞かされるのなら願い下げですが、真摯な考察なら傾聴に値します。『アイズ…』の制作舞台裏(主に脚本制作時)は、脚本を担当したフレデリック・ラファエルが著書『アイズ ワイド オープン』で明らかにしていますので、それを予備知識として一読していれば惑わされることはないでしょう。

 いずれにしても、期待しつつ続報を待ちたいと思います。
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 キューブリック・フォロワーでもあるジェームズ・キャメロンが1994年に監督、公開した傑作SFアクション映画『ターミネーター2』ですが、キューブリック作品のオマージュ(したと思われるシーンも含む)がいくつかありますのでそれをご紹介します。

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 まず、ターミネーターがショットガンをバラの花束の箱に隠していたシーン。これとほぼ同じシーンが『現金に体を張れ』にもあります。

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 主人公のジョニーが競馬場にショットガンを持ち込んだのもシュワちゃんと同じ方法でした。ちなみに『ターミネーター2』の主題歌を担当したのが「ガンズ・アンド・ローゼス(銃とバラ)」。こことも繋がっていますね。

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 ダイソンの自宅で子供がラジコンカーで遊ぶシーン。これはこのローアングルを見れば一目瞭然、『シャイニング』のこのシーンを思い出します。

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 ラジコンカーで遊んでいたダイソンの息子の名前は「ダニー」でした(笑。ここ、キューブリックファンなら笑うところですね。

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 瀕死のダイソンが爆弾の起爆装置を握っているシーン。このアングルとアップの顔は・・・

Sk_3

 同じく『シャイニング』でハロランがダニーのシャイニングを受け取るシーンにそっくりです。これも意識したのか偶然なのか・・・。上記の「ラジコンカー」の確信犯っぷりから偶然とは考えにくいですね。

 以上ですが、こんな穿った見方をしなくても『ターミネーター2』は十分楽しめる傑作映画です。TVオンエアも何度かされていますし、レンタルでも置いていない店はないと言えるほどの定番作品ですが、「もう何度も観てるよ」という方は、こんな楽しみ方をしてみるのも一興かと思います。ぜひ、一度お試しあれ。


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2001_cut1
カットされたシーンではもっとも有名な、フロイド博士が月面生活を視察するシーン。ここにはキューブリックの二人の娘(長女カタリーナ、次女アンヤ)が出演している。

“The additional footage from 2001: A Space Odyssey has always existed in the Warner vaults. When [director Stanley] Kubrick trimmed the 17 minutes from 2001 after the NY premiere, he made it clear the shortened version was his final edit. The film is as he wanted it to be presented and preserved and Warner Home Video has no plans to expand or revise Mr. Kubrick’s vision.”

 「ワーナーは『2001年宇宙の旅』の追加フッテージを保管庫に収蔵してきました。スタンリー・キューブリックがNYプレミアのあと『2001年…』から17分をカットしたとき、キューブリックは短縮版が最終版であることを表明しました。ワーナーホームビデオは、キューブリックの見解を追加したり修正したりする予定はありません」と語った。

(全文はリンク先へ:BbloomsMag/2017年10月10日




 以前ここで記事にした「カンザス州の保管庫で見つかった」フィルムはワーナーが保管していて、それを公開するつもりはないとワーナーが声明を出したようです。

 キューブリックが制作したキービジュアルを改悪したパッケージを平気でリリースするくせに、こういうところでは律儀にキューブリックの遺志を守ろうとするワーナーには違和感を感じますが、「商売的に一番効果的なタイミングを狙っているだけじゃないの?」と穿った見方もできなくもないですね。「幻の17分間(ファンには19分間として知られていた)のフィルムが見つかった」というニュースが流れたのは2010年の年末でしたが、7年も経ってのプレスリリースには唐突さも感じます。

 そろそろ4K版BDの発売も考えられますし、ワーナーの声明も本編に追加する形じゃなく、特典映像としてリリースする可能性は否定していないように感じます。そうなると嬉しいことは嬉しいですが、この「今になって」の声明発表は「特典映像としての価値がどれほどあるかの観測気球」として発せられたのだとしたら「ワーナーさん商売上手っすね」の一言でも言いたくなりますね。

 カットされたシーンは以下の通り。

・「人類の夜明け」で猿人たちがモノリスに反応するシークエンスの短縮
・オリオン号のドッキングの過程と宇宙ステーションのフッテージ
・ハロッズでフロイドがお土産にブッシュベビーを買うシーン
・クラビウス基地の人工池でスケッチをしている子供たちのシーン
・ディスカバリー号での宇宙飛行士の運動シーンの短縮
・ボーマンがAE35ユニットを倉庫から取り出すシーン
・プールがスペースポッドで離船するシーンのカットとプールの呼吸音の短縮
・HALがプールを殺害する前に無線を切るシーン

・「月を見るもの」が骨を道具として使う方法を思いついた際の、一秒間のモノリスのフラシュバックが「追加」された
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判別しにくいが、車のシルエットがRunaboutであることがわかる。車の外観のロングショットはデトロイトで撮影された。

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GM(ゼネラル・モータース社)が1964年に発表したコンセプトカー「Runabout」

2001_Runabout_2
カップル(夫婦?)が語り合うシーン。この映像はロンドンで撮影された。

1964_GM_Runabout_Interior_02
Runaboutのフロントパネル。上記の映像と酷似している。

Another 3-wheeled concept car by GM is the “Runabout”. The vehicle had a front wheel that could turn 180 degrees to allow parking in the tightest of spots and the rear end of the car contained two detachable shopping trolleys with wheels that would fold away when the trolley was parked in the vehicle. The Runabout had space for 2 adults in the front and 3 children in the rear. The vehicle was first presented at the General Motors Futurama Exhibit in 1964 at the New York World’s Fair.

 GMのもう一つの3輪コンセプトカーは「Runabout」です。車両には180度回転可能な前輪があり、車後部には停車したときに折り畳まれる車輪付きの取り外し可能な2つのショッピングカートが収納されていました。Runaboutには、前部座席に2人の大人、後部座席背面に3人の子供用座席がありました。この車は1964年ニューヨーク万国博覧会のGeneral Motors Futurama Exhibitで初めて発表されました。

(引用先:3wheelers.com/General Motors




 1964年といえばキューブリックはニューヨークに居住し『2001年…』の制作準備を着々と進めていた頃です。このニューヨーク万国博覧会には後に『2001年…』の制作に参加するダグラス・トランブルが『To the Moon and Beyond』を出品、それを観たキューブリックがトランブルを引き抜いたという経緯があります。キューブリックがこのRunaboutが展示されていたGMのパビリオンまで足を運んだかは不明ですが、資料をごっそり持ち帰ったか、かき集めたであろうことは確実でしょう。

 このTVの車の映像はGMのお膝元であるデトロイトで撮影されました。ロンドンで『2001年…』の制作に勤しんでいた頃、第二班に指示して撮影させたのです。キューブリックは『2001年…』の制作中はロンドンを離れず、「人類の夜明け」の背景写真やスターゲート・シークエンスのソラリゼーション用の空撮などは第二班に詳細な指示を出し、撮影させていました。車のロングショットは走っているように見えますが、単にズームしているだけのようです。というのも、このRunaboutは駆動系がないモックアップだったそうなので、走るはずがないからです。ニューヨーク万国博覧会は1965年10月17日までですので、閉会後にデトロイトのGMに戻され、それをキューブリックが撮影したのでしょう。ちなみに『2001年…』の宇宙船のセット撮影は1966年1月〜7月頃が最盛期でした。

 カップルのシーンは俳優を車に模した座席に座らせ、ロンドンで撮影したものだそうですが、車の内装がデトロイトで撮影した実物の映像か、ロンドンで組んだセットの映像かまでは判別できません。『ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ』には車のリア部分にカメラを突っ込んで撮影している写真が掲載されているので、座席だけを制作してそれに俳優を座らせ、その正面にリアプロジェクションで運転席の映像を投影しながら撮影したのではないかと推測します。上記3枚目と4枚目の写真の一致具合からそう判断しました。それらの映像をリアプロジェクションでオリオン号の座席のモニターに表示しながら撮影したのだと思われます。合成はしていないでしょう。理由は映像がアウトフォーカスされ、モニターの前をペンが横切るからです。当時の技術でこの合成は不可能だと思います。

 いずれにしても「『2001年…』唯一の地上屋外シーン」がたったこれだけであったのは、『2001年…』が今に至っても普遍性を獲得し続けている大きな要因になっています。なぜなら地上の屋外シーンにはどうしてもその時代の「空気」が映り込んでしまうからです。地上シーンがかなりの割合を占めていた『2010年』を観ればその事実をヒシヒシと感じるでしょう。キューブリックがそれを意図していたかどうかはわかりませんが、1965年当時に2001年の地球上の風景の極力正確な未来予測なんて難しかったでしょうし、「いや、そのカメラを外に向けるだけだよ(実はそんなに変化はなかった)」と言ったところで誰も(キューブリック本人でさえ)信じなかったでしょう。いわゆる「レトロフューチャー」を感じさせる要素が少ないのも、『2001年…』が畏敬を込めて「Oパーツ」と言われている所以なのでしょうね。

 というわけで、キューブリックも訪れた1964年のニューヨーク万国博覧会の、GMパビリオン『フューチャラマ2』の「レトロフューチャー」感満載の映像をご堪能ください(笑。

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